アサウラ『ベン・トー―サバの味噌煮290円』集英社スーパーダッシュ文庫
青臭いひたむきさ?の盛り上りが面白い.
フザケタ作者のフザケタ小説であるなと
感じる部分もあるけど….
◇メモ
P.20 割り箸を割り、『どん兵衛きつねうどん』の蓋を剥がす。
P.20 それはシンプルに『飯』である。結果互いにどん兵衛を一つずつ買い、二人が同時に
手にした半額おにぎりは半分こしよう、という至極もっともな結論に至ったのだった。
P.21 しばしの間、鼻腔を擽る海苔の香ばしさと米の甘みに馴染んで弾ける梅の酸味、
そしてどん兵衛の肉厚でジューシーなお揚げと出汁の奥床しい風味に、横の
女の子のことなど忘れて没頭する。
P.155 しかもこいつはジジ様の店では『超特盛りスタミナ弁当しりーず』と同じくらい
人気のあるサバ味噌だぞ」
P.155 「初勝利が月桂冠とはな。お前は大物かもしれない」
P.157 サバの味噌煮弁当は、うまい。めちゃくちゃうまい。サバの臭みがなく、
身がふっくらとし、こってりしているけれど口の中に残る生姜の風味が
しつこさを感じさせない。さらに臭み消しが本来の目的であろう梅干もまた、
アクセントとなってうまかった。
P.183 あれは僕が焼却炉に飛び込み、半焼した制服を手に脱出・逃走した時……
生徒会をはじめ、心霊現象調査研究部や、学校警備員だとかが追いかけて
P.184 きたのでやむなく近くのドブ川に飛び込み、彼らをやり過ごしたのだが……
白黒のツートンカラーという最高にファッショナブルな車に乗って現れた
屈強な男達にとっ捕まり、留置場に放り込まれたものの、火傷部分から雑菌が
入って感染症を引き起こし、急遽病院に担ぎ込まれた時のことだ。
P.186 ……それに比べてあそこの病院食の酷さといったらない。
ホント、あれは終わっている。一度焼きサバが出たこともあったが、
身はバサバサで生木を齧っているような食感……加えて
皮には焼き色がついているくせに香ばしさなんてほとんど感じられなかった。
あれは本当に不味かった……度肝を抜かれるくらいだ。
恐らく大量のサバの身をまとめて徹底的に蒸し上げ、脂やら旨味やら
サバとしての価値を全て流し落とした後、最後の仕上げに高温で皮の側に
焼き色を付けたのだろう。確かにその調理法を行えばあそこの痛みやすい
サバといえども安全に処理できるのだろう。代価はあまりにも大きいが……。
P.204 僕もまたどん兵衛を軽く掻き混ぜた後、コロッケを載せて食べ始める。
衣のザクっという食感がたまらない。
つゆが染みこむ前と染みこんだ後の二度の食感が楽しめるので、こういう
揚げ物と汁物系の組み合わせが好きだった。理想は下半分の衣につゆが
染みこみ、上半分はサクというかザクっというぐらいの状態でかぶりつくことだ。
歯は衣の心地よい食感を楽しめると同時に、舌の上ではジュワリとくるつゆと
衣のハーモニーというのがたまらない。
P.210 「何故そばじゃないんだ?」
「へ?」
「いや、どん兵衛といったらそばだろう?いや、待て。早とちりはするな。
コロッケをのせるというのなら、きつねそばだ。天ぷらそばじゃないぞ?」
僕も思わず自分の顔が疑問に歪んだのがわかった。
「先輩、どん兵衛といったらうどんですよ?」
「佐藤、ここで冗談を言ってもしょうがないぞ。たいして面白くもない。何だ、
天ぷらそばしか売っていなかったのか?」
先輩は一体……何を言っているんだろう……? どん兵衛といえばうどんである。
誰が何と言おうとうどんである。そばを食べるのは年越しの夜食ぐらいじゃ?
「……お前……まさか、その顔は本気でいっているのか?」
僕は頷く。
P.211 先輩は馬鹿な、と一言呟いた後、信じられないというふうに頭を振った。
P.241 「そんなはずはないだろう?あそこのチーズカツカレー弁当は昔から人気ある
一品だぞ。獲るときだって他の連中が邪魔してこなかったか?」
P.285 「三日前に渡そうと思ったんだがな。うどんかそばで揉めたりしていて
忘れていたよ。……この部室の鍵だ。持っていろ」
P.288 ……楽しいから、うまいんだ。ただ、それだけじゃないか。
青臭いひたむきさ?の盛り上りが面白い.
フザケタ作者のフザケタ小説であるなと
感じる部分もあるけど….
◇メモ
P.20 割り箸を割り、『どん兵衛きつねうどん』の蓋を剥がす。
P.20 それはシンプルに『飯』である。結果互いにどん兵衛を一つずつ買い、二人が同時に
手にした半額おにぎりは半分こしよう、という至極もっともな結論に至ったのだった。
P.21 しばしの間、鼻腔を擽る海苔の香ばしさと米の甘みに馴染んで弾ける梅の酸味、
そしてどん兵衛の肉厚でジューシーなお揚げと出汁の奥床しい風味に、横の
女の子のことなど忘れて没頭する。
P.155 しかもこいつはジジ様の店では『超特盛りスタミナ弁当しりーず』と同じくらい
人気のあるサバ味噌だぞ」
P.155 「初勝利が月桂冠とはな。お前は大物かもしれない」
P.157 サバの味噌煮弁当は、うまい。めちゃくちゃうまい。サバの臭みがなく、
身がふっくらとし、こってりしているけれど口の中に残る生姜の風味が
しつこさを感じさせない。さらに臭み消しが本来の目的であろう梅干もまた、
アクセントとなってうまかった。
P.183 あれは僕が焼却炉に飛び込み、半焼した制服を手に脱出・逃走した時……
生徒会をはじめ、心霊現象調査研究部や、学校警備員だとかが追いかけて
P.184 きたのでやむなく近くのドブ川に飛び込み、彼らをやり過ごしたのだが……
白黒のツートンカラーという最高にファッショナブルな車に乗って現れた
屈強な男達にとっ捕まり、留置場に放り込まれたものの、火傷部分から雑菌が
入って感染症を引き起こし、急遽病院に担ぎ込まれた時のことだ。
P.186 ……それに比べてあそこの病院食の酷さといったらない。
ホント、あれは終わっている。一度焼きサバが出たこともあったが、
身はバサバサで生木を齧っているような食感……加えて
皮には焼き色がついているくせに香ばしさなんてほとんど感じられなかった。
あれは本当に不味かった……度肝を抜かれるくらいだ。
恐らく大量のサバの身をまとめて徹底的に蒸し上げ、脂やら旨味やら
サバとしての価値を全て流し落とした後、最後の仕上げに高温で皮の側に
焼き色を付けたのだろう。確かにその調理法を行えばあそこの痛みやすい
サバといえども安全に処理できるのだろう。代価はあまりにも大きいが……。
P.204 僕もまたどん兵衛を軽く掻き混ぜた後、コロッケを載せて食べ始める。
衣のザクっという食感がたまらない。
つゆが染みこむ前と染みこんだ後の二度の食感が楽しめるので、こういう
揚げ物と汁物系の組み合わせが好きだった。理想は下半分の衣につゆが
染みこみ、上半分はサクというかザクっというぐらいの状態でかぶりつくことだ。
歯は衣の心地よい食感を楽しめると同時に、舌の上ではジュワリとくるつゆと
衣のハーモニーというのがたまらない。
P.210 「何故そばじゃないんだ?」
「へ?」
「いや、どん兵衛といったらそばだろう?いや、待て。早とちりはするな。
コロッケをのせるというのなら、きつねそばだ。天ぷらそばじゃないぞ?」
僕も思わず自分の顔が疑問に歪んだのがわかった。
「先輩、どん兵衛といったらうどんですよ?」
「佐藤、ここで冗談を言ってもしょうがないぞ。たいして面白くもない。何だ、
天ぷらそばしか売っていなかったのか?」
先輩は一体……何を言っているんだろう……? どん兵衛といえばうどんである。
誰が何と言おうとうどんである。そばを食べるのは年越しの夜食ぐらいじゃ?
「……お前……まさか、その顔は本気でいっているのか?」
僕は頷く。
P.211 先輩は馬鹿な、と一言呟いた後、信じられないというふうに頭を振った。
P.241 「そんなはずはないだろう?あそこのチーズカツカレー弁当は昔から人気ある
一品だぞ。獲るときだって他の連中が邪魔してこなかったか?」
P.285 「三日前に渡そうと思ったんだがな。うどんかそばで揉めたりしていて
忘れていたよ。……この部室の鍵だ。持っていろ」
P.288 ……楽しいから、うまいんだ。ただ、それだけじゃないか。
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