C★N25
C★NOVELS創刊25周年アンソロジー
C★NOVELS編集部 編
大石英司・荻原規子・茅田砂胡・佐藤大輔・千葉暁・森博嗣・横山信義ら人気作家が一堂に! 小説、イラスト、コミック、全て書き下ろし。25年が育んだエンターテインメントの結晶!!
http://www.c-novels.com/books/2007-11-25-1641.html
海原育人か定金伸治か多崎礼を目当てに図書館に予約して
何ヶ月も待ったんで,当初の目的は忘却の彼方.
先に記さなかった作家の作品も冒頭だけは読んでみたが
どうも趣味が違うようだった….795頁もあると通読はキツイ.
◇メモ 荻原規子と森博嗣の対談の中で面白かった話いくつか.
P.243 ◇引用
森 小説には引用がつくものだと思
っているから、内容と関係ないとこ
ろでも引用する。
荻 でも、それが読書の励みになる
んですよね、読者としては。完全に
内容を表しているわけじゃなく、ちょ
っとはずして。でもそのニュアンス、
引用がもっているアトモスフィアが
作品に加味されている、みたいな。
森 ギャップがあるからこそ面白い
ので、それを除いちゃうと、もう全
然引用する意味がないですよね。僕
の小説の引用と作品を結びつけた記
事を読んだことがありますが……。
荻 当ってなかったんですか?
森 そういう結びつきを考えること
自体がね。
言及されている記事のピンボケ感と
そういうことに陥りやすい森感覚と
その話の最中で天然ボケな荻原と
非常に多層的に面白い.
%犬儒的にじゃないですよ.
P.247 ◇メモを取らない理由
編 複雑な構造の作品をお書きにな
っているのに、お二人ともメモを取
ったりはしていないとか。
荻 名前とか相関図とか時系列とか、
そういうものは取らないな。それを
忘れるほどでは作品世界をつくる資
格がないと思う。
森 忘れたときはそのシリーズを終
わらせれば(笑)。
荻 やめればいい(笑)。
森 たまにゲラの時に間違いに気づ
くことがありますね。矛盾してる部
分、思い違いみたいなものが出てく
る。でも、そのぶん新しく思いつい
たんだから得じゃないですか。メモ
をとってしまうとそこで思考が止ま
って一つだけになっちゃう。取らな
いと、それを思い出したとき、辿り
つくまでに他のことを考えますよね。
荻 違うものが拾える。
森 ええ、そっちの方が得だって思
っているだけですね。忘れることが
また面白いっていうか。
荻 私、ノートとかも下手だったん
ですよね。講義を受けていても、上
手にメモが取れないんです。
森 ああ、話を聞いて?僕もそれ、
全然しないですね。
荻 でも私、堂々と忘れるから。森
さんはきっと覚えてるから取らない
だけ(笑)。
この人達の作品って,体感的に流して読んでたけど
こういう考え方が背景なら結果的に最善策だった….
P.249 ◇アンチであること
編 お二人とも、ジャンルの枠を越
えた作品を書かれていますね。
荻 どこからもはみ出してるんです
よね(笑)。別に越えようとか越え
まいとか思ったことはなくて、自分
が読みたいものを書いているんだけ
ど。
森 小説って大昔からあるでしょう。
名作はたくさんあって、読めなくな
るわけでもない。先行するものが劣
化していくことがほとんどないから、
アンチにならざるをえないんじゃな
いですか、こんな遅くから書いてた
んじゃ。
編 では、これからはさらにアンチ
な、マイナなところに?
森 世の中はマイナ指向になってる
から。メジャというものはもうない。
大勢の心を摑むことはもう無理で
す。貧しい時代にはできたんですけ
ど、今はみんな自分の好きなものが
いっぱいありますからね。たまたま
出会った人が買ってくれるか、噂が
広がって本当に好きな人たちだけが
読んでくれるものしか作れない。で
も逆に言うと妥協しなくていい。み
んなのために公約数的なものをつく
らなきゃいけなかったのが、今は割
と、自由に書いても好きな人は誰か
いるだろうと。そういう愉しさはあ
ります。
C★NOVELS創刊25周年アンソロジー
C★NOVELS編集部 編
大石英司・荻原規子・茅田砂胡・佐藤大輔・千葉暁・森博嗣・横山信義ら人気作家が一堂に! 小説、イラスト、コミック、全て書き下ろし。25年が育んだエンターテインメントの結晶!!
http://www.c-novels.com/books/2007-11-25-1641.html
海原育人か定金伸治か多崎礼を目当てに図書館に予約して
何ヶ月も待ったんで,当初の目的は忘却の彼方.
先に記さなかった作家の作品も冒頭だけは読んでみたが
どうも趣味が違うようだった….795頁もあると通読はキツイ.
◇メモ 荻原規子と森博嗣の対談の中で面白かった話いくつか.
P.243 ◇引用
森 小説には引用がつくものだと思
っているから、内容と関係ないとこ
ろでも引用する。
荻 でも、それが読書の励みになる
んですよね、読者としては。完全に
内容を表しているわけじゃなく、ちょ
っとはずして。でもそのニュアンス、
引用がもっているアトモスフィアが
作品に加味されている、みたいな。
森 ギャップがあるからこそ面白い
ので、それを除いちゃうと、もう全
然引用する意味がないですよね。僕
の小説の引用と作品を結びつけた記
事を読んだことがありますが……。
荻 当ってなかったんですか?
森 そういう結びつきを考えること
自体がね。
言及されている記事のピンボケ感と
そういうことに陥りやすい森感覚と
その話の最中で天然ボケな荻原と
非常に多層的に面白い.
%犬儒的にじゃないですよ.
P.247 ◇メモを取らない理由
編 複雑な構造の作品をお書きにな
っているのに、お二人ともメモを取
ったりはしていないとか。
荻 名前とか相関図とか時系列とか、
そういうものは取らないな。それを
忘れるほどでは作品世界をつくる資
格がないと思う。
森 忘れたときはそのシリーズを終
わらせれば(笑)。
荻 やめればいい(笑)。
森 たまにゲラの時に間違いに気づ
くことがありますね。矛盾してる部
分、思い違いみたいなものが出てく
る。でも、そのぶん新しく思いつい
たんだから得じゃないですか。メモ
をとってしまうとそこで思考が止ま
って一つだけになっちゃう。取らな
いと、それを思い出したとき、辿り
つくまでに他のことを考えますよね。
荻 違うものが拾える。
森 ええ、そっちの方が得だって思
っているだけですね。忘れることが
また面白いっていうか。
荻 私、ノートとかも下手だったん
ですよね。講義を受けていても、上
手にメモが取れないんです。
森 ああ、話を聞いて?僕もそれ、
全然しないですね。
荻 でも私、堂々と忘れるから。森
さんはきっと覚えてるから取らない
だけ(笑)。
この人達の作品って,体感的に流して読んでたけど
こういう考え方が背景なら結果的に最善策だった….
P.249 ◇アンチであること
編 お二人とも、ジャンルの枠を越
えた作品を書かれていますね。
荻 どこからもはみ出してるんです
よね(笑)。別に越えようとか越え
まいとか思ったことはなくて、自分
が読みたいものを書いているんだけ
ど。
森 小説って大昔からあるでしょう。
名作はたくさんあって、読めなくな
るわけでもない。先行するものが劣
化していくことがほとんどないから、
アンチにならざるをえないんじゃな
いですか、こんな遅くから書いてた
んじゃ。
編 では、これからはさらにアンチ
な、マイナなところに?
森 世の中はマイナ指向になってる
から。メジャというものはもうない。
大勢の心を摑むことはもう無理で
す。貧しい時代にはできたんですけ
ど、今はみんな自分の好きなものが
いっぱいありますからね。たまたま
出会った人が買ってくれるか、噂が
広がって本当に好きな人たちだけが
読んでくれるものしか作れない。で
も逆に言うと妥協しなくていい。み
んなのために公約数的なものをつく
らなきゃいけなかったのが、今は割
と、自由に書いても好きな人は誰か
いるだろうと。そういう愉しさはあ
ります。
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