7月8日の日記

2008年7月8日 読書
C★N25
C★NOVELS創刊25周年アンソロジー
C★NOVELS編集部 編
大石英司・荻原規子・茅田砂胡・佐藤大輔・千葉暁・森博嗣・横山信義ら人気作家が一堂に! 小説、イラスト、コミック、全て書き下ろし。25年が育んだエンターテインメントの結晶!!
http://www.c-novels.com/books/2007-11-25-1641.html

海原育人か定金伸治か多崎礼を目当てに図書館に予約して
何ヶ月も待ったんで,当初の目的は忘却の彼方.
先に記さなかった作家の作品も冒頭だけは読んでみたが
どうも趣味が違うようだった….795頁もあると通読はキツイ.

◇メモ 荻原規子と森博嗣の対談の中で面白かった話いくつか.

P.243 ◇引用
森 小説には引用がつくものだと思
  っているから、内容と関係ないとこ
  ろでも引用する。
荻 でも、それが読書の励みになる
  んですよね、読者としては。完全に
  内容を表しているわけじゃなく、ちょ
  っとはずして。でもそのニュアンス、
  引用がもっているアトモスフィアが
  作品に加味されている、みたいな。
森 ギャップがあるからこそ面白い
  ので、それを除いちゃうと、もう全
  然引用する意味がないですよね。僕
  の小説の引用と作品を結びつけた記
  事を読んだことがありますが……。
荻 当ってなかったんですか?
森 そういう結びつきを考えること
  自体がね。

言及されている記事のピンボケ感と
そういうことに陥りやすい森感覚と
その話の最中で天然ボケな荻原と
非常に多層的に面白い.
%犬儒的にじゃないですよ.

P.247 ◇メモを取らない理由
編 複雑な構造の作品をお書きにな
  っているのに、お二人ともメモを取
  ったりはしていないとか。
荻 名前とか相関図とか時系列とか、
  そういうものは取らないな。それを
  忘れるほどでは作品世界をつくる資
  格がないと思う。
森 忘れたときはそのシリーズを終
  わらせれば(笑)。
荻 やめればいい(笑)。
森 たまにゲラの時に間違いに気づ
  くことがありますね。矛盾してる部
  分、思い違いみたいなものが出てく
  る。でも、そのぶん新しく思いつい
  たんだから得じゃないですか。メモ
  をとってしまうとそこで思考が止ま
  って一つだけになっちゃう。取らな
  いと、それを思い出したとき、辿り
  つくまでに他のことを考えますよね。
荻 違うものが拾える。
森 ええ、そっちの方が得だって思
  っているだけですね。忘れることが
  また面白いっていうか。
荻 私、ノートとかも下手だったん
  ですよね。講義を受けていても、上
  手にメモが取れないんです。
森 ああ、話を聞いて?僕もそれ、
  全然しないですね。
荻 でも私、堂々と忘れるから。森
  さんはきっと覚えてるから取らない
  だけ(笑)。

この人達の作品って,体感的に流して読んでたけど
こういう考え方が背景なら結果的に最善策だった….

P.249 ◇アンチであること
編 お二人とも、ジャンルの枠を越
  えた作品を書かれていますね。
荻 どこからもはみ出してるんです
  よね(笑)。別に越えようとか越え
  まいとか思ったことはなくて、自分
  が読みたいものを書いているんだけ
  ど。
森 小説って大昔からあるでしょう。
  名作はたくさんあって、読めなくな
  るわけでもない。先行するものが劣
  化していくことがほとんどないから、
  アンチにならざるをえないんじゃな
  いですか、こんな遅くから書いてた
  んじゃ。
編 では、これからはさらにアンチ
  な、マイナなところに?
森 世の中はマイナ指向になってる
  から。メジャというものはもうない。
  大勢の心を摑むことはもう無理で
  す。貧しい時代にはできたんですけ
  ど、今はみんな自分の好きなものが
  いっぱいありますからね。たまたま
  出会った人が買ってくれるか、噂が
  広がって本当に好きな人たちだけが
  読んでくれるものしか作れない。で
  も逆に言うと妥協しなくていい。み
  んなのために公約数的なものをつく
  らなきゃいけなかったのが、今は割
  と、自由に書いても好きな人は誰か
  いるだろうと。そういう愉しさはあ
  ります。

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