10月16日の日記

2008年10月16日 読書
アンドレ・ジイド (著), 新庄 嘉章 (翻訳) 『 秘められた日記 』
人文書院 現代フランス名作集 1953年発行

野村美月さんのあとがき読んでちょっと興味がわいたので
Andre Gide は圏外だが読んでみた.

昭和28年5月15日発行ゆえ?
新かな遣いなのだけどどうにも読みにくい.正字正假名の文体臭い.
『今や彼女は汝の中にあり』と『心の日記』
前者は長くて日記というよりエッセイのようでもある.野村さんは
全体を日記と捉えたようで,たとえば後記書の88頁で引用された
『肉体を伴わぬ愛が~』は本書26頁で前者の中の部分.

引き込まれる感じはなかったけれども,嫌になることもなく読み終えた.
なんか,漱石が細君を腐している文章と似た感じを受けた箇所も.

8月に読んだ『“文学少女”と神に臨む作家(ロマンシエ)(下)』
http://felis.diarynote.jp/200808312029000000/
これの,あとがきで次のように紹介されていたので読んでみた.

| 作中で使用した日記は、一ページ目から圧倒されっぱなしでした。ジッドは手紙や日
| 記を大量に残しているのですが、ここまで書いちゃっていいの!と驚くことがいっぱ
| いです。どこまで本当か判断がつかなくて、翻弄されながら引き込まれてしまいます。
| 現代に生きていたら、きっとブログに衝撃的な日記を書きまくっているんだろうなぁ。
| 興味をもたれた方は、是非読んでみてください。価値観が変わりそうです。

◇メモ 山属性を持っていると面白い箇所
P.P. 57-58
|                       私達の新婚旅行の際、最初に足を停め
| たサン・モリツで、私は彼女をかなり長距離の山遊びに連れて行った。こ
| の時は《ディアヴォレッツラの難所》を越える前に山小屋で一夜をあかさ
| ねばならなかった。この峠は必ずしも危険ではなかったが、それでも綱で
| 身体を縛り、前後に案内人が附添っていた。私達は例の《登山杖アルペンストック》を手に
| 持っていたが、彼女はこれを使うのははじめてだった。かなりの距離の、
| 雪で蔽われた嶮しい坂を越えねばならない時、案内人達と私は、彼女に登
| 山杖の正式な持ち方をさせようと努力したが無駄だった。遂に案内人達が
| これ以上先に行くのは厭だと言いだした。というのは、最も危険な場所を
| 通る時に、彼女は頑固にも、杖を谷間の方の手に持つと言ってきかなかっ
| たから。これは、彼女の身体を引きずりこんで谷間に墜落させる危険があ
| った。そうなると、私達も一蓮托生なのだ。彼女は、こんな風に持たねば
| ならないような気がすると言ってきかなかった。そうでないと、安全感が
| 持てないというのだった。手の施しようがなかった!彼女はどうしても
| いうことをきこうとしないのだ。その後長い間、幾夜もこの折のことを夢
| にみてうなされた。万事こんな風だった。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索