4月9日の日記

2009年4月9日 読書
入間人間『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 7 死後の影響は生前』電撃文庫

いや~待ち焦がれていた気持に直球で応えるような
ってのは,みーまーらしからぬという気がしないでもない?
とにかく,期待して,期待した以上に楽しく読んだ.

大江湯女が騙り手で始まるんだが,大江湯女という存在は
みーくんと生き方というか立ち位置がとても似てるけれども
物言いはかなり違うというか捩れの位置かもしれない.
あと,危険回避の能力は,みーくんの数段上を行ってるし.

だから,似ているとみるか,似ていないとみるかをいうのは
どのあたりに着目してみているかをさらけ出すことになる.
で,存在の仕方で,みーくん好きなわたしは,湯女も大好き.

ネタバレな感想とメモの手前に備忘録を.

◇各巻を読んだ直後の酔っ払った戯言
1巻:http://14742.diarynote.jp/200706171208470000/
2巻:http://14742.diarynote.jp/200709121434400000/
3巻:http://14742.diarynote.jp/200712141646030000/
4巻:http://14742.diarynote.jp/200804102130350000/
5巻:http://14742.diarynote.jp/200805091458460000/
6巻:http://14742.diarynote.jp/200809091222570000/

◇6巻で終わったと思ってる人が多くて吃驚したときの
http://felis.diarynote.jp/200809111854066858/


◇『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』シリーズ随想
 %4巻のレイニー切りに悪酔いしてならべた普陀落
http://14742.diarynote.jp/200804110051000000/
◇『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』シリーズ随想2
http://14742.diarynote.jp/200805100940040000/

◇ネタバレな感想
いや~,どんな形で生き延びているか?この著者が副題に死後のとつけたんで
もう,生き残りは確定なんだけど…どう出すんだろうと思ったら,とても真っ直ぐ.
まーちゃんが出てきたところで『嬉っ!』という気分がぽっかりと.それに対して
みーくんが中々出てこないなと思ったら…騙り手交替で出てきた.もっとも
同時に喋ってたら収拾つかなくなるかな.(笑)

一人死んだ生徒が海老原香奈恵というのは予想通りであったけれども
脳溢血ということで…青白い管をスポンと引き抜いては関係ナシと.
読んでいて一番びっくりだったのは,にもうとが生きていた…3巻見直し~.
そして,これまでの巻では墓参りに行くのは書かれていたけれども
どのような気分・趣向であるかが…勝手に期待していた方向で,ちと嬉.

海老原の墓に抱きついてしまうあたり,みーまーとしては異色だけど
いや,みーくん的には一番辛いだろうからね,トリアージみたいな形でって
そんな風に思うと,つい漏らしてしまった,みたいなところだろうか.

坐のハーレムには,笑ってしまったけれど,残り香に対する
まーちゃんの反応って,どうなるんだか.初期の巻にエピソードとか.
廃倉庫での様子からすると嗅覚そのものはそんなでもないのかな….

みーくん好いよ.J.G.バラードの長編の主人公とかの方向性で….

◇メモ
P.18 実は人間以外の生物と、食べ頃のお肉になっていない状態で触れ合うのは
   これが初だったり。
P.19 ざらっとした舌の先端が  …次郎は犬だよねぇ,猫じゃなくて.
P.20 代本板   …最後に使ったのどこでだっけ?國文学の先生の研究室書架か?
P.22 「名字は天野。名前はまだ内緒」
P.22 「別に大江湯女でも平針須見でも、好きに呼べばいいわ」
P.32 「そうですわ。猫伏景子と申します」
P.37 大江湯女と佐内利香、どちらも広まると少々問題の発生する立場でして。
P.52 確かあの子の名前は、みぞのまゆこ。……溝のマユ子?  …(良かった~)
P.68 誰かの願望が満たされる頃。       誰かの暴力が振るわれた頃。
   家族の中に笑い声が溢れた。       わたしはいつも泣いていた。
   よく顔が良いと褒められた。        泣き顔が良いと嘲笑された。
   頑張れと何度も励まされた。       すぐに涙が足りなくなった。
   他の誰かもよく笑っていた。        家族以外も暴力を求めてた。
   夢のような時間が流れてた。       意識が飛ぶことが多かった。
   毎日、皆を楽しませていた。        代金というのを支払われた。
   それがわたしの仕事だった。       そのお金で家族は繋がった。
   わたしは家族と一緒にいた。       それ以外の他人も敵だった。
   いちにちじゅう、家にいた。        外って何か分からなかった。
   えらい人が、たくさん来た。        近所の誰かが呼んでくれた。
   小学校に行くようになった。        表だけ家族が優しくなった。
   知らない人が話かけてきた。       自分以外は皆、こわかった。
   助けてあげる、と言われた。       誘拐させて頂戴と願われた。
P.69 何のことか分からなかった。       言葉の意味を知らなかった。
   無理矢理に手を引っ張った。       初めて、笑顔が優しかった。
   わたしは助けを呼んでみた。       その人をお母さんと呼んだ。
   わたしは契約と家族を得た。       わたしは決別と自由を得た。
   わたしは大江湯女となった。       私はさないりかをなくした。

P.69 通路で新聞を取りに来た久屋君の母親と鉢合わせて、世間話という名目の独り言を
P.81 昨日、初めて生物に触れるとかほざいていたけど、虫に触れたことくらいは
P.83 あの子は私にとってペルシダーよ。   …E・R・バローズ ?
P.113 マユ子さんの周囲にまつわりついている男  …杉田 ?
P.118 正確には大人は『自分が得をしない嘘をつくな』もしくは
    『相手が傷つかないよう、気づかないように嘘をつくこと』と教えるべきなのよ。
    嘘をつかないようにという、あまりに難易度の高い人生を要求するのは、
    酷というもの。
    嫌いな人間に対して、嫌いと正面向かって言い切り。
    好きな人間に対して、好きと正面向かって言い切る。
    確かにこれ以上に心の豊潤な人生は、あり得ませんわ。
    そしてその生き様自体、成立するはずもなく。
P.123 「いいですか、利香ちゃん」「平針須見」「それ、誰のお名前なんですか?」
P.129 健歯  …意図的なんだろうな.
P.137 「今から取りに来ます? わたしの家、今はぉ母さんも働きに出てて、
     誰もいませんから」
P.174 「貴方、いつまでそうやって寝転んでいるつもり?」
P.175 まだ貴方は、『主人公』を再開しないのかしら?
P.200 土手っ腹を二発撃ち抜かれる。  …撃たれてたか.
P.201 墓参りマニアの僕が思うに、墓とは一番手っ取り早く、他人を感じられるものである。
P.202 海老原香奈恵の状態は脳溢血   …ガスじゃないんだ.
P.204 僕は存外、我が儘な人間に成長してしまったみたいだ。マユよりも、誰よりも。
    運命は僕の懺悔を心待ちにしていたようで、比較的早期に海老原の墓へ
    辿り着くことが出来た。毎年訪れている妹の母親の墓に、程近い。
P.205 「あなたが死んでくれたお陰で、僕は生きてます」
     海老原香奈恵にそう言った。
P.205 足腰が更に崩れて、墓に肘をぶつける。そのまま墓石に抱きついて、身体が
    ずり落ちていく。人間味の不足した冷たさが心地良い。溶けて消えそうな
    身体と意識が凝固する。
    「涙……初めてなんだ。僕は墓参りしても、報告とか、しなくて、表情だって
    変えないで、何の意味もなくて。夏だから、一晩保たずに乾くけど。だけど僕は今、
    確かに泣いているんです。」
     擦りつけた涙を、海老原はどう感じるんだろう。ごめん、僕はきみの性格を
    知らないから。何を許してくれるとか、一生根に持ったのかも知れないとか、
    何も分からない。
P.206 だから、僕の世界にいなかったきみの死を、あくまで自分の為に愛惜してることを
    認めるよ。その上で、僕はきみの後をまだ追わないことを宣言しておく。
          …たぶん,わたしがみーくんに好感を持つ一番の理由だな,こういうとこ.
P.211 最後に入って来たのは当然、相も変わらず低身長の妹だった。
P.212 こいつ生きてたんだぜ、あーびっくりした。嘘だけど。  …3巻読み直すかな~.
P.223 ある意味頂点ではある。何処も登らずに勝手に立っていたというだけですが。
P.239 「誰を捕まえれば、ではなくて誰を殺せば事件は自分の都合良く終わるか、
     そればかり考えているでしょう」

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