米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件 下 』創元推理文庫

上巻で,あ!鮮やか!と感じたあたりが
ちゃんと回収されててご馳走さま~.
この物語の『栗きんとん』のように美味.(想像比)

何やってるのか見せないで進んでいって
最後に一気にご説明いたしましょうなので
ミステリというより読み物的な印象が強い.
とはいえ,ネタバレしては興醒めな種類.
そして,骨のミステリ部分ではなくて
その周辺で動く人の意図というか思いというかが
微妙に漂っていて気になるけれどもわからなくて
説き明かされて,あぁ~,そうか!なところも多くて
なんて思ったけれども…あの部分やその部分で
これに気づいてたら興醒めしてただろうな.
ということで,してやられたなと感じる部分は
著者の芸で楽しませてもらったところ,と.
上巻の何か浮いた感じの,新田高義の異動は
伏線を仕掛けるためのものだったのかな….

◇メモ
P.97 レシート
P.122 「ねえ、小鳩ちゃん。冗談で始まっても罰ゲームで始まっても、
     形だけしかないとしても、恋は恋だよ。体温があがるもん。
     あたし、それが好き。でも小鳩ちゃんは違ったんだね」
P.148 それは、学校の制服だった。真夏なので半袖だけど、色は紺だった。紺の色が
    深すぎて、黒く見えた。胸元で結ばれた赤いリボン。半袖のセーラー服だった。
P.149 船戸高校の制服じゃない。
P.169 いったん思い出せば、そのときの言葉の響きさえ耳に甦る。
    「おいたは、もうだめ。何もしないのが、一番いいと思うの」
P.211 「仲丸さんとのデートは楽しかったよ。女の子のショッピングって、結構戦略的
     なんだね。映画を選ぶのも、話題を選ぶのも、とても楽しかった。でもぼくの
     本当の趣味はこっちなんだ。今夜みたいな会話の方が、解決篇の方が、
     何倍も昂奮する。喋らせてくれてありがとう。やっぱりこっちの方が」
      言葉を選ぶ。
P.212 「体温が上がるよ」
P.214 [瓜野くんが『つきあってくれ』の一言で済ませたことを言うために、
    わたしたちはどれだけ言葉を積み重ねなきゃいけないの?やっぱり
    わたしたち、所詮、考えることができるだけなのかな?」
    まだ笑いながら頷いたけれど、ぼくはその意見には、全面的には同意できない。
    考えて試行錯誤して、欠落と補完、需要と供給のために二人でいることを
    決めたというだけだったら。
    「うん、小鳩くん。また一緒にいようね。たぶん、もう短い間だと思うけど」
    ……ただそれだけなら、ぼくはいま、こんな気分にはなっていないだろうと思うのだ。

コメント

nophoto
Ana
2014年4月14日3:15

What’s it take to become a sublime expenudor of prose like yourself?

nophoto
Donte
2014年4月15日23:15

If you’re looking to buy these arctiles make it way easier.

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