御影瑛路『僕らはどこにも開かない』電撃文庫
夾雑物のない文章で快い感じがする物語.
『空ろの箱と零(ゼロ)のマリア』の妙な読後感に
デビュー作から読んでみようかと手をつけたので
警戒して読み始めたけど,意外なほど真っ直ぐ.
無理して情感的なものを描こうと足掻いてないから
ヘンに掻き混ぜられることなくて読みやすいのかも.
あとがきの『執拗なまでに悪辣な表現をつかったり』
というのはちょっと違う気もするけど,どうなのだろう.
◇メモ
P.225 「美紀、自分の魅力にいまいち気がついてないでしょ?まぁ、今まで恋を
知らなかったから当然っちゃ当然か。ん~……男どもがさ、一番好きに
なりやすい女はどんな人だと思う?」
「えーと……かわいくて、おとなしくて、自分を立ててくれて、あと料理得意とか、
そんな女の子らしい女の子」
「あー、男受けはいいだろうね。でも不正解。一番モテるコは、ある程度
かわいくて話しやすくて、遠慮のいらない女の子。一言で言えば
美紀みたいなコ。まぁ、美紀は文句なしにかわいいけど」
「……絶対嘘だよ」
ポーズではなく本気で否定する。
「ホントだって。男どもは高嶺の花には、意外と手を出さないんだよ。
ちょっと脈がありそうなコの方を狙ってくる。美紀はさ、そこら辺の刺激の
仕方がうまいんだ。無意識に。もしかしたら、俺に気があるのかな?って気に
みんなさせる。つーか、実際たくさん告られてきたべ?」
P.289 美紀さんのことを僕は理解できる。美紀さんの心情を、あらかた把握できている。
でも、それでも、美紀さんの世界は僕には見えない。そんなことができるとも、
微塵も思っていない。
正しい美紀さんの世界なんて、僕にはちっともわからない。絶対にそこには
僕はたどり着けない。
僕らの世界は、例外なく誰であっても、どこにも開かれていない。
それは相手が美紀さんだろうと、あるいは雅人であっても同じだ。
夾雑物のない文章で快い感じがする物語.
『空ろの箱と零(ゼロ)のマリア』の妙な読後感に
デビュー作から読んでみようかと手をつけたので
警戒して読み始めたけど,意外なほど真っ直ぐ.
無理して情感的なものを描こうと足掻いてないから
ヘンに掻き混ぜられることなくて読みやすいのかも.
あとがきの『執拗なまでに悪辣な表現をつかったり』
というのはちょっと違う気もするけど,どうなのだろう.
◇メモ
P.225 「美紀、自分の魅力にいまいち気がついてないでしょ?まぁ、今まで恋を
知らなかったから当然っちゃ当然か。ん~……男どもがさ、一番好きに
なりやすい女はどんな人だと思う?」
「えーと……かわいくて、おとなしくて、自分を立ててくれて、あと料理得意とか、
そんな女の子らしい女の子」
「あー、男受けはいいだろうね。でも不正解。一番モテるコは、ある程度
かわいくて話しやすくて、遠慮のいらない女の子。一言で言えば
美紀みたいなコ。まぁ、美紀は文句なしにかわいいけど」
「……絶対嘘だよ」
ポーズではなく本気で否定する。
「ホントだって。男どもは高嶺の花には、意外と手を出さないんだよ。
ちょっと脈がありそうなコの方を狙ってくる。美紀はさ、そこら辺の刺激の
仕方がうまいんだ。無意識に。もしかしたら、俺に気があるのかな?って気に
みんなさせる。つーか、実際たくさん告られてきたべ?」
P.289 美紀さんのことを僕は理解できる。美紀さんの心情を、あらかた把握できている。
でも、それでも、美紀さんの世界は僕には見えない。そんなことができるとも、
微塵も思っていない。
正しい美紀さんの世界なんて、僕にはちっともわからない。絶対にそこには
僕はたどり着けない。
僕らの世界は、例外なく誰であっても、どこにも開かれていない。
それは相手が美紀さんだろうと、あるいは雅人であっても同じだ。
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