平城山工『ヒミツのテックガール ぺけ計画と転校生』角川スニーカー文庫
なんじゃこれ?な,ぐじゃぐじゃさ,だけど面白い.
一回で読み取るには高度な読解力が要ります.
わたしは再読してやっと全台詞の発言者が判った.
ネタ小説.大ネタは量子力学絡み…猫死にません.
これだけ可愛く書いた?のは初めて見た気がする.
最初の方でスプライン関数だのフレーム問題が
サラリと出てくるので,オタク的衒学趣味というか
理系雑学制限解除全開をやらかすのかと思って
いや,最初のほうで魔法とかも出るけれども
科学と魔法の区別がつかなくなる話もあるし.
ところが,どちらかというと『学校を出よう!』的に
魔法的進行でかっ飛ばして振り回しやがった.
でも,ところどころに,理系オタクネタが嵌めてあって
それが,斜めながらも話と絡んでいたりするので
読んでる方の連想奔逸を誘って引っかかりまくる.
でもって,ある種の黄金郷を描いてたりする….
◇メモ
P.14 その原因は、しろ・くろ・まっちゃ・あずき・コーヒー・ゆず・さくら。色とりどりの
娘、娘、娘。見渡せど見渡せど、眼前に広がる娘だけの娘砂漠。
P.22 キュートさは (略) 対消滅していた
P.27 「わたしのテーマはプラネタリウムに関するものだが、現在開発中の簡易型
投影機の特徴はこのレンズの非球面形状にあってだな、その表面形状は
スプライン関数Aで表現できる……」
P.28 ナガイさんもまた、フレーム問題に直面したアンドロイドのように立ちつくした。
P.33 誰が暴走よ!! わたしの所為じゃないもん。フツーだもん、真人間だもん!!
P.55 「ウチを受験するような娘達は、往々にしてサターンVかエネルギアクラスの
大出力エンジンを積んでることが多いような気がしますけれども、こんな
冊子見たらイチコロに点火して、木星系の彼方まですっ飛んじまうんじゃ
ないでしょうかねぇ。これは文学の悪用、文学兵器といっても
過言ではないですなぁ。」
P.69 『親切すぎてむしろ不親切な物理』
『親切な物理』 のパロディとな.参考書の話題には世代が出るなぁ.
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=15303528
P.69 デイバックから実験手順書だろうか?コピー用紙をホチキス止めしただけの
うすぺたい冊子を取り出し
P.72 「いいか、嬢ちゃんよく聞け。今日限り、そんなシャバの常識は捨てっちまえ。目の
前で起こっていることは全て現実、そこには魔法も科学もねぇ。わかったか!!」
P.76 定食 気まぐれ博士の異常な愛情定食 … スタンリー・キューブリック ?
電気羊の沈黙ソテー … P・K・ディック+トマス・ハリス ?
日替わり丼
マルチレイヤーサンド … プリント配線板? ネットワーク??
オープンソース焼そば … 時代の潮流ではあるな.
P.78 日替わり丼はバージョンが3に上って初心者にも食べやすくなったと評判のC丼。
…どの「C言語(コンパイラ)」だよ?(爆)
P.98 「(英語)ああっ、そんな無体な!!」 …これは難問だろうと実験.
エキサイト [Aa] and such compulsive a !.
インフォシーク It is ああっ, such a coercion! !
by force 辺り使う方が真っ当な気もするけど.
P.79 コカコーラNULL …ゼロの類縁だけどずいぶん印象変わるな.
火星ソーダ …苛性曹達 NaOH
P.100 『ニューギニアの火力発電所から100万ボルトの電線をひた走り……』
…デンセンマン@ 『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』
1976年より78年までTV放映されたバラエティ番組(電線音頭の!)
http://www.sonypictures.jp/corp/pr/20050630.html
P.104 「ところで、その『先人』というのは?」
P.105 「アナタも会ったことがある人物ですよ。これはそのノートの一部ですが……」
神奈備さんはカバンから冊子を取り出して机の上に置いた。それはコピーを
ホチキスで綴じただけのみすぼらしい冊子で、最近見た覚えがあった。
そう、確か……。
P.106 「不可思議な出来事を『魔法』というブラックボックスに押し込め、目をつむって
しまうのは簡単です。しかし、そこに未来はありません。キミもこの学校の一員に
なるのであれば覚えておいてください。君達は先人の肩に乗り、事象の地平の
向こうに新しい光を見るために、今ここにこうしているのです。もっとも先人が
先人だけに、一筋縄ではいかないのですが……」
P.113 インセクトドローン insect drone
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/1565879/US-accused-of-making-insect-spy-robots.html
P.123 「何言ってるんですか、姫。アキバに行くのに『何しに』もありません。行かないと
落ち着かないのです。行って、ジャンクとか部品とか、安売りのなんかとかを
無目的に買いましょう。そして、帰りにメイド喫茶でまったりしてくるのです」
P.126 「カギ? かかっていると言うほどはかかってなかったが」
P.130 『寮則の十五 鍵は開けられるほうが悪い。開けられたくなければ努力すること』
P.134 「そう、業務命令八〇一。流石にあそこに行くのにひとりだとマンパワーがね。」
…この,やおい,は本筋に絡めてはいないようだ.
P.139 『常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことを言う』
Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen.
http://quotationsbook.com/quote/7220/
P.141 「朝のアキバは邪気が薄くてスガスガしいなぁ」
P.142 似たような海辺の買出しイベントを年に二度ほどこなす山田ちん曰く、
『警官に肩を叩かれたら荷物を捨てて逃げないとヤバい』
何買ってるんだ山田。
P.144 「アンタの目は節穴かっ!! 旧陸軍秘蔵品大放出セール。への一号の
記憶箱がなんと四万円!!」 …無いだろうけどまさかと検索してやはり無し.
P.154 「『都市鉱山』ってのはね、携帯電話なんかのハイテク製品に使われた希少
金属のリサイクルを指している言葉なの。街のゴミから金属をとるから都市の
鉱山。最近できた言葉よ、一般的には…。でもここは、そんな流行り廃りとは
関係ない、もっと昔からある『都市鉱山』。戦後のヤミ市が地下に潜ったのが
秋葉口のはしり。ここには、米軍、赤軍、日本軍、その他諸々の遺物が世界から
集められ、再び広がっていく、テクノロジの鼓動の中心地になっているの。
テクノロジだけじゃないわ。表の世界の権力者がヒルズやタワーなどの高層
建築物を建てるみたいに、裏の力を得た者はその居場所を地下に求めるの。
例えばほら、あそこは東京都教許可局本部事務所。東京至上主義者の
集まりよ。そんなわけで、ここで手に入らない物は、世界中ドコに行ったって
手に入らないのよ。ただし、手に入れるにはそれなりの資格が必要だけどね」
「資格?」
P.155 「部品に求められるってコト。そうでもなきゃ、この山の中から必要な物を
掘り当てるなんてできっこないけどね。それに、得物を使いこなせるかどうかも。
もっとも、使うつもりが無けりゃ、ゴミにしか見えないものしかないけどね、ここには」
P.156 サングラス、口元まで覆う真夏のマフラー、目深に被った鳥打ち帽。
こんな、アキバ以外なら、アキバでも即職質の人も区別しないのである。
「千種ちゃん、こんな時間にサボリ? 怖いオニィさんにしかられるわよ」
P.156 髪飾り
P.162 「いいか、今君周辺の確率場は非常に不安定な状態になっている。それが
どういう意味か分かるか!?」 …前振りナシで出しやがって~.(苦笑)
「わ、解るように言ってよ。アンタ達が喋ると、分かることもわかんないのよ」
混乱したわたしは声を荒らげる。その様子に男達はますます怯え、
「だから感情的になるなっ。これだから女は!! とりあえず茶でも飲め!!
全ては茶だ」
P.174 『無為な作業を繰り返し行わせる』というのが、古代中国の拷問にあった筈だ。
…出典が知りたい,,ナチがユダヤ人収容所でやったのは知ってたけど.
P.184 こういう模倣子病は付ける薬がない上に空気感染力バツグンなので、罹患を
防ぐには患者とは距離を置くしか手だてがない。 …ミーム(meme)捻り過ぎ?
P.210 『充電池を最後のひとしずくまで使い切ると壊れる』
という都市伝説のアレ。 …過放電すると壊れる.専用機器は手前で止めてる.
P.212 それまで首筋にしがみついていたマハル様は背中から飛び降りると、
電磁射出されたモビルスーツのように、あっという間に見えなくなった。
…げ,ガンダムかいな.
P.228 「現時点でイベント発生確率は当社比一・五倍になっている……でここからが
問題なのだが、本瀬の存在が定常確率場を乱すのではないかという報告を
受けてはいるんだ。そのテの事件を引き起こす確率が増大するらしい」
P.236 「ジブンがここに試験を受けに来た事自体、仕組まれたもんや。この学校は、
学校であって学校やない。ある種の管理施設みたいなモンやねん。考えて
みーや、ナガイやマハルみたいな連中、放っといたら何するか解らんやろ?
そんな、四畳半で原爆でも作りかねん連中を駆り集め、マトモな変人に
育てる施設、それがここや。いっぺん目ぇ付けられたら逃げられへんで。
逃げたら、一生監視付きの人生や」
P.240 この学校ではファンネル装備がデフォルトですか!?
…あ~~,ガンダム見てないんだよね.
P.241 「ジークジオン!!」 ジオン万歳って… ガンダム見てないんだよ.
P.242 コネクティッド …何か背景がありそうだが,わからない.
P.244 「そう、コネクティッドが採用したのは『人類全体に寄生した一匹の蒸、
それが意識だ』とする説です」
P.258 トロンそば定四つ …トロンプロジェクトだの...腹壊しそうだ.
P.259 「マハル、掲示板見たか?提出したレポート、機印(きじるし)認定
されとったで? しかも上や」
「え、マジ……あっちゃぁ」
P.270 ポアンカレーの作り方 失踪したくなるカレーか? %ポアンカレ予想
P.273 『情報爆発による世界再構築の理論と実践』
P.273 無秩序状態の資料を己の美学に従い整理するという作業は世界の再構築に
等しく、それは至福の時間である。そして、その作業に終わりはない。テスト前の
日曜日、現実逃避するのに最適の作業なのである。
P.275 1997 遺伝子組み換えカメムシ 中種子千種 上 没収
2003 確率増幅髪飾り 中種子千種 上 没収
P.275 「物理現象を時空間の確率場でモデル化した場合点『物質はそこにありながら、
あらゆる場所に薄く広く存在している状態にある』と言えるんや。そこに『在る』
ように見えるのは、『ただ、そこに存在する確率が一番高いから』という程度の
問題に過ぎへん。その存在確率を制御してやることで、物理現象を操作して
やろうという考え方や」
P.276 「ようするに、問題なのはこっから先。その髪飾りっぽいものはその機能の
一部を実装してるんだけど、『機械の周りで一番強い願い』を入力として
実現可能性を高める。エネルギーは『一番近くにいるヒト』からとるってこと。
これは判るやろ?」
P.278 デタンプ …データ+スタンプ か.
P.280 「ちょ、待って。あの本だけ!!」
わたしは棚から一冊の本を抜き出し、手近な紙片を本に挟む。
P.288 わたしは、学級文庫の唯一の収穫物をちゃぶ台の上に広げた。
「プラネタリウムって星(プラネット)をみる場所(アリウム)って意味の
合成語なんです。古代ギリシャ人は、そんな場所で語らい、一体感を
得ていたのかもしれません」
彼女は しおりを挟んだそのページを食い入るように眺めていたが、
「そうか、ふ・ふ・ふ。ありがとう。早速試してみるよ。いままで悩んでいたのが
ばからしくなってきた」
P.296 全部載せカレー …
P.303 それは、ナガイが提出した実験計画書。その初めには見覚えのあるページ、
ナガイに渡した書籍のコピーが添えられていた。
「それは、タダの歴史の本じゃないですか」
「そう、これは歴史の本の写しだ」
通常モードに移行した神奈備さんは、ソファの傍らを落ち着きなく
行き来しながら言った。
「だが、問題なのはこのしおりの方なんです」
二ページ目の、ボロボロのルーズリーフをさらに何度もコピーしたかのように、
見づらい文字をつづった紙片を取り出した。
「これは『ノート』の一部です。実物は保管庫の貴重書庫に厳重に保管され、
その一部、解読され安全性の確認された部分については、教科書にも
使われている。あなたも見ているでしょう?」
面接の日、ヤナギが手にしていたうすぺたいコピーを思い出す。
P.304 「しかし、ノートは散逸し、その殆どが今も行方不明です。そして、これは
その一部、その中でも特A級に危険度の高い部分と思われます」
P.311 「確率場制御って確か……」
そう、例の髪飾りの基礎理論だ。
ヤナギも姿勢こそだらけたままだが、その目には再び緊張の色が見える。
「あの、そこの所をもう少し詳しく教えていただけませんか?」
「なんだ、興味あんのか……それそれ、それだよ」
先生は校長の机の上に開きっぱなしになてちたファイルを取り上げた。
――やっぱり
コピーのページだ。
「確率って言うと雲を掴むような話だが、要は物の『在る無し』の議論を
してるに過ぎねぇ。物ってのはそこにあるようで、そこに無い。全宇宙に
偏在してるんだ。ただ、そこにある確率が一番デカいからそこにある
……逆に言えば、確率を書き換えてやれば他所にいっちまう……
それを難しく書くと、このノートみたいになるわけだ」
P.316 「でも昨日までは全然だったのに……どうして」
P.317 「ハルミに貰ったコピーのおかげ。非常に刺激的な体験だった」
カバンからコピーを取り出して見せた。だがそれは澤村にひょいと
取り上げられる。
「だが残念ながら、この物騒な物は没収だ」
「物騒?」
ナガイが小首を傾げる。
「これはな……」
ヤナギが人差し指を立てて目を細め、眉間にシワを寄せた。
「確かにそこまでは考えてませんでしたが……」
ナガイは神妙な顔をする。澤村は、
「しかしよくこんな物が読めるな」
コピーをひらひらさせた。写真の裏には数式がびっしりと書いてある。ヒトの
読むものではないと思われる。
「わたしも星の写真を渡したつもりだったんですけど……」
「解っててくれたんじゃないのか」
「うん、キレイだったから……」
%このコピーを渡した場面は P288 で,P.280 で持ち出した資料だが…
初読時はすこ~んと記憶から落ちてて,再読して気づいた,とほほ..
P.338 コネクションシステム
… ん~~ Connectionism や Connectionist expert system を思い出すが
機印認定が似合いそうな M.minsky が1969年の論文で否定してたような.
具体的に否定されてたのはパーセプトロンで,三層パーセプトロンがでたけど
パーセプトロンの柔軟性は持ち得なかったんじゃなかったろうか.
M. Minsky and S. A. Papert.
Perceptrons: An Introduction to Computational Geometry.
MIT Press, Cambridge, MA, expanded edition, 1988/1969.
%エレガントで楽しい読み物だから興味わいたら,適当な大学図書館ででも.
amazonの1988年版の紹介文のつぎのところが関連といえば関連.
They note a central theoretical challenge facing connectionism: the challenge to
reach a deeper understanding of how "objects" or "agents" with individuality
can emerge in a network. Progress in this area would link connectionism with
what the authors have called "society theories of mind."
http://www.amazon.co.jp/Perceptrons-Introduction-Computational-Marvin-Minsky/dp/0262130432
第五世代コンピュータの話が出たときに,駄目だろこりゃ,と思ったのは
この辺からの推測からだったけど…何かマトモな成果残ったんだろうか?
P.347 「とりあえず喰って寝ろ。んでもって、続きは明日考えろ」
それは機素教授だった。
「なぁ、嬢ちゃん。機械を作るヤツ、整備するヤツ、使うヤツ、人間の側が間違いを
起こさなけりゃ機械だって悪さはしねぇもんさ。だがな、悪さをしない機械に
進歩はねぇ。それに……」
ぐいと右手を突き出した。その先には、襟首をつかまえれた校長がぶらぶらと
揺れていた。
P.348 「ここにいるのはコイツを始めとして、揃いも揃って間違いだらけの
大バカどもだ。だから俺たちみたいに尻ぬぐいしてまわる人間がいるんだ」
「スミマセン。これからは気をつけます」
わたしはふいと視線を逸らす。
「なぁにがスミマセンだ……誰が謝れって言った」
「?」
「シミュレーション?思考実験?笑わせやがる。エンジンはぶっ壊れるまで
ぶん回して初めて限界が分かるってモンだろ。お前の可能性だってそうだ。
そのために俺達がいる。そう言う場所だ、ここは。だから限界までぶん回して
みろ。心も。身体も。嬢ちゃんにはその資質があるってもんだ。なぁ?」
なんじゃこれ?な,ぐじゃぐじゃさ,だけど面白い.
一回で読み取るには高度な読解力が要ります.
わたしは再読してやっと全台詞の発言者が判った.
ネタ小説.大ネタは量子力学絡み…猫死にません.
これだけ可愛く書いた?のは初めて見た気がする.
最初の方でスプライン関数だのフレーム問題が
サラリと出てくるので,オタク的衒学趣味というか
理系雑学制限解除全開をやらかすのかと思って
いや,最初のほうで魔法とかも出るけれども
科学と魔法の区別がつかなくなる話もあるし.
ところが,どちらかというと『学校を出よう!』的に
魔法的進行でかっ飛ばして振り回しやがった.
でも,ところどころに,理系オタクネタが嵌めてあって
それが,斜めながらも話と絡んでいたりするので
読んでる方の連想奔逸を誘って引っかかりまくる.
でもって,ある種の黄金郷を描いてたりする….
◇メモ
P.14 その原因は、しろ・くろ・まっちゃ・あずき・コーヒー・ゆず・さくら。色とりどりの
娘、娘、娘。見渡せど見渡せど、眼前に広がる娘だけの娘砂漠。
P.22 キュートさは (略) 対消滅していた
P.27 「わたしのテーマはプラネタリウムに関するものだが、現在開発中の簡易型
投影機の特徴はこのレンズの非球面形状にあってだな、その表面形状は
スプライン関数Aで表現できる……」
P.28 ナガイさんもまた、フレーム問題に直面したアンドロイドのように立ちつくした。
P.33 誰が暴走よ!! わたしの所為じゃないもん。フツーだもん、真人間だもん!!
P.55 「ウチを受験するような娘達は、往々にしてサターンVかエネルギアクラスの
大出力エンジンを積んでることが多いような気がしますけれども、こんな
冊子見たらイチコロに点火して、木星系の彼方まですっ飛んじまうんじゃ
ないでしょうかねぇ。これは文学の悪用、文学兵器といっても
過言ではないですなぁ。」
P.69 『親切すぎてむしろ不親切な物理』
『親切な物理』 のパロディとな.参考書の話題には世代が出るなぁ.
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=15303528
P.69 デイバックから実験手順書だろうか?コピー用紙をホチキス止めしただけの
うすぺたい冊子を取り出し
P.72 「いいか、嬢ちゃんよく聞け。今日限り、そんなシャバの常識は捨てっちまえ。目の
前で起こっていることは全て現実、そこには魔法も科学もねぇ。わかったか!!」
P.76 定食 気まぐれ博士の異常な愛情定食 … スタンリー・キューブリック ?
電気羊の沈黙ソテー … P・K・ディック+トマス・ハリス ?
日替わり丼
マルチレイヤーサンド … プリント配線板? ネットワーク??
オープンソース焼そば … 時代の潮流ではあるな.
P.78 日替わり丼はバージョンが3に上って初心者にも食べやすくなったと評判のC丼。
…どの「C言語(コンパイラ)」だよ?(爆)
P.98 「(英語)ああっ、そんな無体な!!」 …これは難問だろうと実験.
エキサイト [Aa] and such compulsive a !.
インフォシーク It is ああっ, such a coercion! !
by force 辺り使う方が真っ当な気もするけど.
P.79 コカコーラNULL …ゼロの類縁だけどずいぶん印象変わるな.
火星ソーダ …苛性曹達 NaOH
P.100 『ニューギニアの火力発電所から100万ボルトの電線をひた走り……』
…デンセンマン@ 『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』
1976年より78年までTV放映されたバラエティ番組(電線音頭の!)
http://www.sonypictures.jp/corp/pr/20050630.html
P.104 「ところで、その『先人』というのは?」
P.105 「アナタも会ったことがある人物ですよ。これはそのノートの一部ですが……」
神奈備さんはカバンから冊子を取り出して机の上に置いた。それはコピーを
ホチキスで綴じただけのみすぼらしい冊子で、最近見た覚えがあった。
そう、確か……。
P.106 「不可思議な出来事を『魔法』というブラックボックスに押し込め、目をつむって
しまうのは簡単です。しかし、そこに未来はありません。キミもこの学校の一員に
なるのであれば覚えておいてください。君達は先人の肩に乗り、事象の地平の
向こうに新しい光を見るために、今ここにこうしているのです。もっとも先人が
先人だけに、一筋縄ではいかないのですが……」
P.113 インセクトドローン insect drone
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/1565879/US-accused-of-making-insect-spy-robots.html
P.123 「何言ってるんですか、姫。アキバに行くのに『何しに』もありません。行かないと
落ち着かないのです。行って、ジャンクとか部品とか、安売りのなんかとかを
無目的に買いましょう。そして、帰りにメイド喫茶でまったりしてくるのです」
P.126 「カギ? かかっていると言うほどはかかってなかったが」
P.130 『寮則の十五 鍵は開けられるほうが悪い。開けられたくなければ努力すること』
P.134 「そう、業務命令八〇一。流石にあそこに行くのにひとりだとマンパワーがね。」
…この,やおい,は本筋に絡めてはいないようだ.
P.139 『常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことを言う』
Common sense is the collection of prejudices acquired by age eighteen.
http://quotationsbook.com/quote/7220/
P.141 「朝のアキバは邪気が薄くてスガスガしいなぁ」
P.142 似たような海辺の買出しイベントを年に二度ほどこなす山田ちん曰く、
『警官に肩を叩かれたら荷物を捨てて逃げないとヤバい』
何買ってるんだ山田。
P.144 「アンタの目は節穴かっ!! 旧陸軍秘蔵品大放出セール。への一号の
記憶箱がなんと四万円!!」 …無いだろうけどまさかと検索してやはり無し.
P.154 「『都市鉱山』ってのはね、携帯電話なんかのハイテク製品に使われた希少
金属のリサイクルを指している言葉なの。街のゴミから金属をとるから都市の
鉱山。最近できた言葉よ、一般的には…。でもここは、そんな流行り廃りとは
関係ない、もっと昔からある『都市鉱山』。戦後のヤミ市が地下に潜ったのが
秋葉口のはしり。ここには、米軍、赤軍、日本軍、その他諸々の遺物が世界から
集められ、再び広がっていく、テクノロジの鼓動の中心地になっているの。
テクノロジだけじゃないわ。表の世界の権力者がヒルズやタワーなどの高層
建築物を建てるみたいに、裏の力を得た者はその居場所を地下に求めるの。
例えばほら、あそこは東京都教許可局本部事務所。東京至上主義者の
集まりよ。そんなわけで、ここで手に入らない物は、世界中ドコに行ったって
手に入らないのよ。ただし、手に入れるにはそれなりの資格が必要だけどね」
「資格?」
P.155 「部品に求められるってコト。そうでもなきゃ、この山の中から必要な物を
掘り当てるなんてできっこないけどね。それに、得物を使いこなせるかどうかも。
もっとも、使うつもりが無けりゃ、ゴミにしか見えないものしかないけどね、ここには」
P.156 サングラス、口元まで覆う真夏のマフラー、目深に被った鳥打ち帽。
こんな、アキバ以外なら、アキバでも即職質の人も区別しないのである。
「千種ちゃん、こんな時間にサボリ? 怖いオニィさんにしかられるわよ」
P.156 髪飾り
P.162 「いいか、今君周辺の確率場は非常に不安定な状態になっている。それが
どういう意味か分かるか!?」 …前振りナシで出しやがって~.(苦笑)
「わ、解るように言ってよ。アンタ達が喋ると、分かることもわかんないのよ」
混乱したわたしは声を荒らげる。その様子に男達はますます怯え、
「だから感情的になるなっ。これだから女は!! とりあえず茶でも飲め!!
全ては茶だ」
P.174 『無為な作業を繰り返し行わせる』というのが、古代中国の拷問にあった筈だ。
…出典が知りたい,,ナチがユダヤ人収容所でやったのは知ってたけど.
P.184 こういう模倣子病は付ける薬がない上に空気感染力バツグンなので、罹患を
防ぐには患者とは距離を置くしか手だてがない。 …ミーム(meme)捻り過ぎ?
P.210 『充電池を最後のひとしずくまで使い切ると壊れる』
という都市伝説のアレ。 …過放電すると壊れる.専用機器は手前で止めてる.
P.212 それまで首筋にしがみついていたマハル様は背中から飛び降りると、
電磁射出されたモビルスーツのように、あっという間に見えなくなった。
…げ,ガンダムかいな.
P.228 「現時点でイベント発生確率は当社比一・五倍になっている……でここからが
問題なのだが、本瀬の存在が定常確率場を乱すのではないかという報告を
受けてはいるんだ。そのテの事件を引き起こす確率が増大するらしい」
P.236 「ジブンがここに試験を受けに来た事自体、仕組まれたもんや。この学校は、
学校であって学校やない。ある種の管理施設みたいなモンやねん。考えて
みーや、ナガイやマハルみたいな連中、放っといたら何するか解らんやろ?
そんな、四畳半で原爆でも作りかねん連中を駆り集め、マトモな変人に
育てる施設、それがここや。いっぺん目ぇ付けられたら逃げられへんで。
逃げたら、一生監視付きの人生や」
P.240 この学校ではファンネル装備がデフォルトですか!?
…あ~~,ガンダム見てないんだよね.
P.241 「ジークジオン!!」 ジオン万歳って… ガンダム見てないんだよ.
P.242 コネクティッド …何か背景がありそうだが,わからない.
P.244 「そう、コネクティッドが採用したのは『人類全体に寄生した一匹の蒸、
それが意識だ』とする説です」
P.258 トロンそば定四つ …トロンプロジェクトだの...腹壊しそうだ.
P.259 「マハル、掲示板見たか?提出したレポート、機印(きじるし)認定
されとったで? しかも上や」
「え、マジ……あっちゃぁ」
P.270 ポアンカレーの作り方 失踪したくなるカレーか? %ポアンカレ予想
P.273 『情報爆発による世界再構築の理論と実践』
P.273 無秩序状態の資料を己の美学に従い整理するという作業は世界の再構築に
等しく、それは至福の時間である。そして、その作業に終わりはない。テスト前の
日曜日、現実逃避するのに最適の作業なのである。
P.275 1997 遺伝子組み換えカメムシ 中種子千種 上 没収
2003 確率増幅髪飾り 中種子千種 上 没収
P.275 「物理現象を時空間の確率場でモデル化した場合点『物質はそこにありながら、
あらゆる場所に薄く広く存在している状態にある』と言えるんや。そこに『在る』
ように見えるのは、『ただ、そこに存在する確率が一番高いから』という程度の
問題に過ぎへん。その存在確率を制御してやることで、物理現象を操作して
やろうという考え方や」
P.276 「ようするに、問題なのはこっから先。その髪飾りっぽいものはその機能の
一部を実装してるんだけど、『機械の周りで一番強い願い』を入力として
実現可能性を高める。エネルギーは『一番近くにいるヒト』からとるってこと。
これは判るやろ?」
P.278 デタンプ …データ+スタンプ か.
P.280 「ちょ、待って。あの本だけ!!」
わたしは棚から一冊の本を抜き出し、手近な紙片を本に挟む。
P.288 わたしは、学級文庫の唯一の収穫物をちゃぶ台の上に広げた。
「プラネタリウムって星(プラネット)をみる場所(アリウム)って意味の
合成語なんです。古代ギリシャ人は、そんな場所で語らい、一体感を
得ていたのかもしれません」
彼女は しおりを挟んだそのページを食い入るように眺めていたが、
「そうか、ふ・ふ・ふ。ありがとう。早速試してみるよ。いままで悩んでいたのが
ばからしくなってきた」
P.296 全部載せカレー …
P.303 それは、ナガイが提出した実験計画書。その初めには見覚えのあるページ、
ナガイに渡した書籍のコピーが添えられていた。
「それは、タダの歴史の本じゃないですか」
「そう、これは歴史の本の写しだ」
通常モードに移行した神奈備さんは、ソファの傍らを落ち着きなく
行き来しながら言った。
「だが、問題なのはこのしおりの方なんです」
二ページ目の、ボロボロのルーズリーフをさらに何度もコピーしたかのように、
見づらい文字をつづった紙片を取り出した。
「これは『ノート』の一部です。実物は保管庫の貴重書庫に厳重に保管され、
その一部、解読され安全性の確認された部分については、教科書にも
使われている。あなたも見ているでしょう?」
面接の日、ヤナギが手にしていたうすぺたいコピーを思い出す。
P.304 「しかし、ノートは散逸し、その殆どが今も行方不明です。そして、これは
その一部、その中でも特A級に危険度の高い部分と思われます」
P.311 「確率場制御って確か……」
そう、例の髪飾りの基礎理論だ。
ヤナギも姿勢こそだらけたままだが、その目には再び緊張の色が見える。
「あの、そこの所をもう少し詳しく教えていただけませんか?」
「なんだ、興味あんのか……それそれ、それだよ」
先生は校長の机の上に開きっぱなしになてちたファイルを取り上げた。
――やっぱり
コピーのページだ。
「確率って言うと雲を掴むような話だが、要は物の『在る無し』の議論を
してるに過ぎねぇ。物ってのはそこにあるようで、そこに無い。全宇宙に
偏在してるんだ。ただ、そこにある確率が一番デカいからそこにある
……逆に言えば、確率を書き換えてやれば他所にいっちまう……
それを難しく書くと、このノートみたいになるわけだ」
P.316 「でも昨日までは全然だったのに……どうして」
P.317 「ハルミに貰ったコピーのおかげ。非常に刺激的な体験だった」
カバンからコピーを取り出して見せた。だがそれは澤村にひょいと
取り上げられる。
「だが残念ながら、この物騒な物は没収だ」
「物騒?」
ナガイが小首を傾げる。
「これはな……」
ヤナギが人差し指を立てて目を細め、眉間にシワを寄せた。
「確かにそこまでは考えてませんでしたが……」
ナガイは神妙な顔をする。澤村は、
「しかしよくこんな物が読めるな」
コピーをひらひらさせた。写真の裏には数式がびっしりと書いてある。ヒトの
読むものではないと思われる。
「わたしも星の写真を渡したつもりだったんですけど……」
「解っててくれたんじゃないのか」
「うん、キレイだったから……」
%このコピーを渡した場面は P288 で,P.280 で持ち出した資料だが…
初読時はすこ~んと記憶から落ちてて,再読して気づいた,とほほ..
P.338 コネクションシステム
… ん~~ Connectionism や Connectionist expert system を思い出すが
機印認定が似合いそうな M.minsky が1969年の論文で否定してたような.
具体的に否定されてたのはパーセプトロンで,三層パーセプトロンがでたけど
パーセプトロンの柔軟性は持ち得なかったんじゃなかったろうか.
M. Minsky and S. A. Papert.
Perceptrons: An Introduction to Computational Geometry.
MIT Press, Cambridge, MA, expanded edition, 1988/1969.
%エレガントで楽しい読み物だから興味わいたら,適当な大学図書館ででも.
amazonの1988年版の紹介文のつぎのところが関連といえば関連.
They note a central theoretical challenge facing connectionism: the challenge to
reach a deeper understanding of how "objects" or "agents" with individuality
can emerge in a network. Progress in this area would link connectionism with
what the authors have called "society theories of mind."
http://www.amazon.co.jp/Perceptrons-Introduction-Computational-Marvin-Minsky/dp/0262130432
第五世代コンピュータの話が出たときに,駄目だろこりゃ,と思ったのは
この辺からの推測からだったけど…何かマトモな成果残ったんだろうか?
P.347 「とりあえず喰って寝ろ。んでもって、続きは明日考えろ」
それは機素教授だった。
「なぁ、嬢ちゃん。機械を作るヤツ、整備するヤツ、使うヤツ、人間の側が間違いを
起こさなけりゃ機械だって悪さはしねぇもんさ。だがな、悪さをしない機械に
進歩はねぇ。それに……」
ぐいと右手を突き出した。その先には、襟首をつかまえれた校長がぶらぶらと
揺れていた。
P.348 「ここにいるのはコイツを始めとして、揃いも揃って間違いだらけの
大バカどもだ。だから俺たちみたいに尻ぬぐいしてまわる人間がいるんだ」
「スミマセン。これからは気をつけます」
わたしはふいと視線を逸らす。
「なぁにがスミマセンだ……誰が謝れって言った」
「?」
「シミュレーション?思考実験?笑わせやがる。エンジンはぶっ壊れるまで
ぶん回して初めて限界が分かるってモンだろ。お前の可能性だってそうだ。
そのために俺達がいる。そう言う場所だ、ここは。だから限界までぶん回して
みろ。心も。身体も。嬢ちゃんにはその資質があるってもんだ。なぁ?」
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