12月5日の日記

2009年12月5日 読書
入間人間『僕の小規模な奇跡』アスキーメディアワークス

好かったけどつらくもあった,かな.

どうして単行本なのかについて色々と
妄想を膨らませてから読んだけれど
痛い,読んでいて痛みが疼きつづけた.
あ,物理的に痛そうで痛いじゃなくて
登場人物の日常場面での言動・思考が
切なくて哀しくて,痛く感じたのだった.
赤・青・黄・緑と四本の栞紐がついていて
何か仕掛けがあるかと思ったけれども
たぶん無い.(見落としていないと思うが…….)

『みーまー』では死にそうになったりしてるけど
足掻いて動いて何とかしていこうとする
その姿を読めるので元気が出るのだけど……
J.G.バラードの登場人物にも通じるような…….
そういうのと違う,諦めて受け容れているような
そんな風に見えてしまう人達が…….

裏返すと,『みーまー』についていけない人にも
進められる小説ではないか,という気もする.

◇メモ
P.107 以前からマンモス校だったけど、最近は恐竜校にでもなりそうな勢いらしい。
    もしくは人の数を揶揄して、ネズミ校、という洒落で評することもある。

P.108 橘川英次

P.109  綺麗な女の子のイラストが描かれた表紙を何度か目で楽しんでから、
     本文を開く。
     プロローグ、と銘打たれた最初の文章からゆっくり、読み進めてみる。
     ……読みづらい。悪文だけで構成されているような地の文が、ページを
    占拠するみたいにぎゅうぎゅう詰めで書かれている。比喩表現が捻りすぎて、
    何を語っているのか理解するのに時間がかかるし。世の中には、変わった
    文章を書く人もいるものだ。

P.134 孤独というか、孤高的な。能力の高さとかそいういう面じゃなくて、
    どんな形であれ人間の完成度が高いと時折起こりうる、疎通の齟齬だ。
    圏外の相手に、電波を届ける努力を怠ってしまう。お互いに、遠いと錯覚して。

P.215 他人事の恐怖の方が、時に人を怯えさせる。分からないから、掴めないから。

P.218 だって人の痛みが直に伝わるようになったら、みんな離れ離れに、
    心が届かない距離を取って暮らすことを選ぶだろう……
    というのを、短編連作系の小説で読んだ覚えがある。
    母の書斎にあったけど、随分と古い本だったな。題名は失念してしまったので、
    この話はここでお終い。心当たりのある人は、答えを葉書に書いて、
    心に念じて送って下さい。電波で。

P.277 言霊とは、人体の中身の八割が水分だからこそ起こりうる現象だと本で
    読んだことがある。彼の言葉は、確実に私の体内の水分へ波紋を
    引き起こしていた。それが均等な波紋か、石を投げ込まれて生まれた
    不恰好な波かは、まだ定かじゃない。

P.299 自分で色々と解決できる人間に、望まない助言は必要ない。

P.340 尚、本作のタイトルは著者のとても好きな漫画の名前をもじってあります。
    非常に分かり易いとは思いますが。
    ちなみにその漫画の作者様から許可を頂いております。
    …福満 しげゆき作品って読んだことなかったけど,こんど読んでみるかな.

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