『これはペンです』
叔父という象徴？で『存在』というか『意味』みたいなものを
淡々と書いているのがある種の心地よさをだしている．
『機械によって書かれた論文。論文を書く機械についての論文。
そうしてまた、論文を書く機械についての論文を書く機械。』
11頁のこれは，なかなか面白いし，ELISAより面白くするかと
ちょっと期待したけれども，余技という扱い通りだった．
科学オタク的ネタはひねりが物足りない気がした．
フッ素樹脂加工してある鉄の中華鍋なんてあるのか？（23頁）
『良い夜を持っている』
こちらは，心理学者ルリアとシィあたりから妄想を紡いで
独特の物語を作っている．静かな空気は共通だが
こちらには，なにか情緒のようなものが感じられる．
しかし，妄想の中核は写像に括れそうな印象であり
干渉を受けて苦労する様子はわかるが，記憶の働きについては
著者の中でも，どのくらい形をもっているか不明な気がする．
具体的に矛盾点が気になるとかではないが，妙なところで変な感じ．
◇IBM Selectric typewriter
表紙の球状のパーツをみて懐かしさを覚えたのも読む動機の一部だが
知らない人も増えているかもしれない．
http://ja.wikipedia.org/wiki/IBM_Selectric_typewriter
◇APL
http://ja.wikipedia.org/wiki/APL#.E5.A4.96.E9.83.A8.E3.83.AA.E3.83.B3.E3.82.AF
◇メモ
P.116 父の症候群は、超記憶力に分類される。写真記憶の極端な一例に属す。
基本的に一目見たものは忘れられない。
…写真記憶の語は心理学では用いないような．
視覚情報保存(visual information stage:VIS) とかiconic memory に似てるか．
P.122 名前や物を知ってはいても、ただそれだけでは覚えているとは言い難い。
物の名前がわかるだけでも、名前から物を呼べるだけでも記憶と呼ぶには
語弊がある。それでは辞書と同じであって、言葉を喋る役には立たない。
…バケツ理論：知識を集積すれば知能が生じる，ことはないてのと同列だな．
P.129 どんな言葉も瞬間的に街の内部に取り込むが、一般化をすることはない。
規則動詞を何百個と覚えてみても、はじめて目にする動詞を活用させる
ことはできない。
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