5月15日の日記

2012年5月15日 読書
野村美月『ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件』ファミ通文庫

無茶多いけど楽しく読めればいいじゃないか
そんなライトノベルのど真ん中みたいな物語.
色々おいしい聖羅が深みを出していて好い.

『うさ恋。』から入ったので,原点回帰?とか
思いつつ読んで,文学少女でかぶった猫は
重たかったから,ヒカルで発散しかけてたけど
ついにここまでか~,あっはっは~,なんて
読み終えて,あとがき読んで,はあナルホド.

◇メモ
P.46 それに、寒いよ、この水風呂。
   よく見たら氷が浮かんでるじゃないか!どうしてこの子は平然としてるんだ。
   僕はだんだん歯の根があわなくなってきた。

P.46 「……先生は、わたしに会いに来てくださった……のではないでしょうか?」

P.84 「そ、そういえば、どうしてメイドさんの格好をしてたんですか」
P.85 すると王妃様は、表情をほんわりとなごませて、
   「だって、夜会に出るようなドレスを着て、パンを焼いたり、お掃除をしたり
   できませんもの。あちらの方が動きやすいんです」

P.99 気分は皇帝の身でありながら、家臣の妻との不義密通を疑われ、
   裁判の被告人席に立たされた伝説のダメ皇帝、ルードヴィッヒ二世の
   気分だった。そういえば、この皇帝、獄中で、ザリガニまんじゅうを
   喉につまらせて亡くなったんだっけ。

P.106 「……古代アナベル文明の、数学理論です」
    「そ、そう。アナベル文明ね。あの三角の墓とか、動物信仰のね。
    そうじゃないかと思ったんだ、ははは……。よ、読めるの?」
    「……ええ。文法事態は現在使われているものと、そう変わりませんから。
    オルフェルートの定理は二千年を経た今も色あせず、興味深いです」

P.112 「更紗様のお人形は、赤ん坊の頃、森に捨てられていたのを
    狼に育てられた、野生児という設定ですから」
…『 Joseph Amrito Lal Singh 』で検索すると色々拾えるけど,殆どが創作臭い.

P.117 この王子も、しっかりしないと、ロマンシア王国の八代国王ルーイ二世
    みたく、側近にギロチン台に送られるなんてことも、ありえるぞ!

P.135 まるで宝石のように高貴で艶やかな音。
    それでいて、ひどく繊細で、哀しくて、淋しくて。

P.169 「……あなたには“見えてない”ということですか?」
    %傍点打てないので斜体で代用.

P.207 「あなたは、見えていないのに、竜樹お兄様を助けて
    くれました。お父様に意見をしました。そんな人はいままで
    いなかった。なので、試してみたいと思います」

P.207 「あなたがもし、わたしの欲しいものを、あてることができたら、
    グリンダは偽者だと黙っていてあげてもよいですよ」

P.224 「聖羅の“欲しいもの”を知りたいのであれば、私から特別に
    ヒントを出そう。聖羅は私によく似ている。だから私は、
    聖羅に嫌われているのだけどね」

P.241 “きみの望みは、なにもかも捨てること?”
    言葉が喉まで出かかって、けど、体の一部が抉られるようで、
    とても言えなかった。
P.258 「答えは“なし”だよ!欲しいものなんか最初からなかったんだ!
    きみたちには、なにも必要じゃない!なんでも持ってるくせに、
    なにもかも捨ててひとりになることだけが望みなんだ!きももっ!
    オルフェルートも!」
    自分以外に生きるもののない、“世界の終わり”だけを夢見ているんだ!
    それしか見えていないんだ!

P.264 聖羅姫がよく胸に抱えていた、あの本だ。
    開かれたページには、文字の他に挿絵があった。フードのついた
    黒いマントに身を包み背中を向けて横笛を吹き鳴らす隠者――。
     遺跡から出土した壁画に描かれたオルフェルートの姿を、模したものだ。
P.266  けど、僕の目を引きつけたのは伝説の天才ではなく、その横に
    描き足された小さな絵だった。オルフェルートと同じように背中を
    向けた小さな女の子が、オルフェルートの傍らに立っている。
     女の子が伸ばした右手が、まるでオルフェルートのマントを
    つかんでいるようで――。

P.266 「きみの“欲しいもの”が、わかったよ」

P.269 ――きみの“欲しいもの”が、わかったよ。

    そうささやいたあの夜。
    僕の腕の中で、聖羅姫ははじめて体をゆらした。
    そうして、いじめられっこの女の子のような、自信のなさげな
    弱々しく掠れた声でつぶやいた。
    「……ほしいものは……ありません。わたしは……なんでも……
    もってるから……。ぜんぶ……すてて……ひとりで……
    “世界の終わり”へゆくことだけが……わたしの……
    のぞみだから……あなたのこたえは……せいかい、です」

P.270 「僕はずっと誤解していた。きみは――淋しかったんだね。
    怖かったんだね」

P.271 「きみが欲しかったのは、差し出した手を握り返してくれる
    相手だったんだ。きみの淋しさをわかってくれる、君と同じ存在を、
    “理解者グリンダ(ルビ)”を――ずっとずっと待っていたんだね」

P.271 「僕は天才じゃないし、見えてもいない。それでも、
    どんなときでも、僕はきみの味方だ!いつだってきみの話をきく!
    きみを助ける!だから、きみはきみの言いたいことを言っていい。
    したいことをしていいんだ」

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