5月19日の日記

2012年5月19日 読書
森田季節『デキる神になりますん』ファミ通文庫

桃源メルヘン系と呼びたい
のんびりほんわかした物語.
まこう様の耳をくすぐりたい.
深緑も色々おいしい.(笑)

◇メモ
P.20 ワニ叩きゲーム
P.55 「外出ですか。そうですよね。リアルの醍醐味ですよね。
   きっと、ワクワクとドキドキが待ってるんですよね。
   パンをくわえた女の子と衝突するんですよね」
   「そんなことは一生のうち、一度もないと思う」
   「じゃあ、空から降ってくるんですか?天空の城の王女的な誰かが」
   「水平方向か、直線方向かの問題じゃない」
P.59 「ほら、これだけのことだよ。これを繰り返していけばいいんだ。
   千里の道も一歩から。ローマは一日にしてならず」
   「墨俣一夜城」
   「ことわざに真っ向から反対するたとえを出すのやめてよ」
P.77 Tシャツには「夏だ! 海だ! 長野だ!」と書いてあった。
   ちなみに長野県は海に面していない。
   … しかし,「海ノ口」が二箇所ある.南佐久郡の方には海ノ口温泉~.
     長野県大町市平海の口/長野県南佐久郡南牧村大字海ノ口
P.86 「すみません、もうしません、ほんとにすみませんでした」
P.87 「ま、まあ、これで怒りが解けたわけじゃないけど、今日のところは
   これで許してあげる。でも、香菅一成、あなた、謝り方が下手ね……。
   東野家ならそんな言葉、使わないわよ」
P.93 「まあ、今言ったのは半分冗談です。リア充爆発しろと言っても、
   本当に爆発されたら肉片飛び散るし、周囲にも被害が及ぶから、
   誰も本当の爆発を願っていないようなものです」
P.99 「たしかに世の中には廃線後マニアとか、廃墟マニアとか、
   寂れたところが好きな人もいますが、地元民にとったら、
   全然楽しくない事態ですからね。そういうアピールはダメですよ。
   自虐ネタが長く続かないようなものです」
   「そっか。独特の空気があって、いいなって思うんだけどな。
   そのせいか、体がなんだか、むずむずするんだ」
   「それって、憑かれているんじゃないですよね……。
   むずむずするというのは、変な感覚ですよ」
P.104 また体がむずむずする。でも、不快ではない。くすぐられているような
    気分だ。これも滝のせいだろうか。
P.121 一成は体を深緑のほうに寄せた。
    呪いをかけた張本人のことをしっかり聞くぞという姿勢の現れである。
    「え……そんなに近づかないでよ……恥ずかしい……」
    「あ、申し訳ない。離れるから。続けて」
    「別に、あのままでもよかったけど(ぼそっ)」
    「え、何?」
P.122 だが、一成の眠気も、ものすごいことになっていた。
    コーヒーを今すぐ三杯くらい飲みたい。
    「好評そうでよかった。じゃあ、次の話をするね」
    「悪いけど、もう、限界なんだ、寝よう」
    正直に言うことにした。香菅家は「無理をしない」が家訓なのだ。
    「え……それって、どういうことかな……」
    まだ終わってないと怒られると思ったが、なぜか深緑は
    戸惑っているようだ。
    耳が赤くなっている。それだけでなく、顔のほうも赤くなっていく。
    「寝たいんだ。僕はもう我慢できない。頼む」
    「そ、そんなことお願いされれも……私たち、従兄妹同士だし……」
    「従兄妹同士とか関係ないだろ」
    誰に歴史を教えてもらおうと眠いものは眠い。教師ではなく
    親戚だろうと眠い。従妹だろうと親だろうと眠い。
    「一成らしくないよ……。一成、いつもはもっと控えめなのに……」
    「そうだね。でも、今は限界なんだ。心で抑えられるものじゃないんだ」
    寝ないようにしようとしても、体が眠らせてくれと言っているのだ。
    「どんなことになってもいい」
    深緑がキレたとしても仕方ない。どうせ途中で寝てもキレるだろうし。
    「そんなこと言われても困るよ……」
    「無理なのは承知のうえだ」
    ここで「無理ならばけっこうです」と言ったら、明日に響く。「休む
    ためには無理もしろ」も香菅家の家訓なのだ。
    「じゃあ、あの、くらがりさまって子は何なの……?」
    「くらがりさまは関係ない」
    本当に関係ない。
    「ほら、時間があんまりないんだ」
    明日は、かなり早朝に起きないといけないのだ。夜更かしする
    余裕はない。七時間睡眠とまではいかなくても、せめて五時間は寝たい。
    深緑は胸の前で手を交叉させる。まるで身構えているようだ。
    「ど、どうなっても知らないからね……」
    やはり、深緑は怒っているのか。これ以上勝手を言うなら、
    どうなっても知らないと脅しをかけているのだ。「明日から補習を
    みっちりやるから。三日に一回は徹夜ね」とか言われるのか。
    でも、この眠気をどうにかするほうが大事なのだ。
    「引き返すなら、今しかないからね……」
    「うん、僕はどうなってもいい」
    覚悟を決めて、一成は言う。
    しばしの沈黙。
    「わかった……私はいいよ……」
    よほどのことらしく、深緑も、ほとんど泣き出しそうな顔をして言った。
    「ありがとう!じゃあ、勉強会はまた明日ってことで!眠すぎるから
    寝ます!おやすみ!」
     深緑の考えが変わる前に、一成はとっとと隣の部屋に
    逃げ帰って、寝た。
     翌日以降、深緑による教育がよりハードになった。やはり、
    刃向かったせいだろうか。

P.134 トイレを使ったあと、二人は女子大生、いやカノンの家をあとにした。
    帰り道、ラムネを買った商店の横を歩くと、また体がむずむずした。
P.139 「ああ、世界がみんな、一成さんみたいに話し合える人だったら
    いいのに……。世の中を生きるのは大変です。話し合いをしようとか
    言って、自分の意見を押し通すことしか考えてない人、問題を
    見つけたと言って絶対に他人のせいにする人、ちょっとでも変な
    ことがあると徹底的に攻撃して正義だと言ってくる人、とくに
    根拠もないのに偉そうな人、ほんとに、ほんとに大変です……」
P.152 「恥ずかしながら、こたつから一歩も出ない日も珍しくありません
    でした。自分からありえないにおいが発生していることに
    気づいてやめましたけどね」
P.161 「呪いもひとつの縁、その縁のおかげで新しい運が開けるかも
    しれませんよ。ふふふふふ」
P.171 「え、棗様の『ぼっちゃん』は、ぼっちの少年がクラスからぼっちゃん
    というあだ名をつけられる、救いのない話ですよ」
    【くらがりさま 用語辞典(9)】『ぼっちゃん』――棗様の代表作。
    棗様にはほかに長編BL小説『ココロ』、『俺の彼女が猫になって
    いろいろとヤバイ』、『抱き枕』などの著作がある。
    夏目漱石とは一切関係ない。
P.187 「呪いもひとつの縁か」
    お風呂の中で、ぼそりとつぶやく。
    ある意味、あのまこう様の皮肉は当たっていなくもない。
    呪いがなければ、くらがりさまの部屋にたどり着くことも
    なかったのだ。意外と良縁なのかもしれない。
P.201 「申し訳ない」
    「あっ、またそういう下手な謝り方だわ」
P.201 「まただ!猛烈に体がむずむずする!」
P.202 「いつも、このへんをあるいていると、むずむずするんだ!
    何かがあるんだ!」
    引き寄せられるように二十メートルほど走ると、一成は
    空き地の前の道路に倒れた。
P.202 一方、一成の体は、ずっとむずむずしていた。
    「感じる」
    なかば、ぼうっとした顔で一成は言った。
    「感じるって、何をよ?」
    倒れた人間の言う言葉にしては不自然で、明日羽は変な顔をした。
    「なんでむずむずするか、わかった」
    「いったいどういうことなんですか?」
    「あのさ、くらがりさま、前も僕、このあたりでむずむずしたんだ」
    「そういえば,ラムネを買う前にもそんなこと言ってましたよね。
    観音堂の帰りも」
    「あとは、滝のあたりかな。それで滝に引きこまれそうになった。
    あれは滝に霊泉の成分がながれてたからだよね」
P.203 「たしか、そんな解釈だったかと」
    「それで、今すごくむずむずが強いんだ」
    「わたしにとってはむずむずというより、どういう意味なのか
    考えるのが難いですよ」
    「これ、渇きの呪いを受けた体が、地下を流れてる霊泉に反応して
    いるんだと思う。ここの下に温泉がある。ここを掘って!」
P.203 「これ、渇きの呪いを受けた体が、地下を流れてる霊泉に反応して
    いるんだと思う。この下に温泉がある。ここを掘って!」
P.235 「ずっと、あなたたち、すみませんって言ってたでしょ。あれは
    ビジネスの言葉だから、意外と気持ちが伝わらないの。
    謝罪会見とか、みんな、すみませんって言ってるでしょ。
    けど、なかなか許してもらえないんだよね。あれだと
    相手は投げ返してくれない」
    「ああ、わかる気はする」
     すみませんだけでは、言わされているような雰囲気は
    ぬぐいきれない。
    「それで、ワタシの家では『すみません』はプライベートでは
    使わないことにしてるの」
    「じゃあ、どう言ってるの?」
    「簡単だよ。心をこめてくお言うの――」
    明日羽からは、すごくありふれた言葉が返ってきた。
P.250 ただ、体がやけにむずむずするのはどうしてだろう?
P.253 「では、行きますよ――――――
    まこうさまああああああああああああああああああああ、
    本当にいいいいいいいいいいいいいいいいい…………ごめんなさい」
P.254 ―――――ごめんなさい、と言えばいいのよ。
P.255 ―――――すみません、なら親しくない人にでも使えるからね。
    でも、ごめんなさい、はそうはいかないから。親しい人を前にした時の
    最終手段だから。こう言われると、少なくともそれ以上文句を
    言いづらくなるのよ。信じられないかもしれないけど、これは
    接客業の経験則。厄介なクレーマーが来たら、この言葉を使うの。
    「ごめんなさい」と言われた人は、「もう、いいよ」とつい言いたくなる。
    そうしないとキャッチボールが成立しなくなるからだ。
P.274 「それで、あなたにかけた呪いのことなんですけれど……」
    まこう様が言いづらそうに、顔を下に向けた。
    どうも、緊張の度合いが強い気がするのだが、なんでだろう。
    「この場で解かせていただこうと思うので……す、少し、
    そこに横になってもらえませんかしら」
P.275 「ああ、呪いなら、このままでいいです」
    「いえ……別に変なことをするつもりではありませんから……。
    お、お礼のキスしようだなんて、そそんなことはありませんからっ!
    すぐに……………………え、呪われたままでいいってことですの?」
    「はい。だって、この呪いでくらがりさまにも会えたわけですし、
    檜沢の温泉も出るようになったんですよね。何か、これがいろんな
    縁をつむいでくれそうだなって」
     なぜか、この一連の発言で縁を一つ破壊したような気がしたが、
    おそらく錯覚なのだろう。

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