鈴木鈴『白山さんと黒い鞄』電撃文庫
ん~,白山さん可愛い.
接触感の描き方が好いなぁ.
しっかし,猫はどうした?
奴に釣られて読んだのに…….
◇メモ
P.16 白山さんはしばらくそうして『窒息する少女』という題のパントマイムを
演じてから、おもむろにその手を振り上げて、
「あぶっ!?」
ろくな手加減もせずに、衡の顔面に叩きつけた。
P.16 転んだ白山さんが握っている、黒い鞄。横倒しになったその口から――
猫が首を出していた。
顔の半分だけでこちらを覗きながら、くるるるる、と軽快しているのか
甘えているのかよくわからない声が喉から漏れて、それで白山さんが
再び身体を起こした。
P.20 「如何したの、その顔」
「顔、ですか?」
首をかしげた衡に、桐ヶ谷伊織がおもむろに手鏡を差し出した。
受け取って、自分の顔を確認すると、綺麗な手形がついていた。
P.27 ただ彼は、『おもしろそうなこと』に対して、並々ならぬ興味を抱いて
いるというだけだ。
伊織が一度『おもしろそうなこと』を見つけてしまったら、
彼を止めるのは至難の業となる。伊織は全能力を使って
それを追求しようとするのだから。
P.155 つまり、『おもそろいこと』になによりも目がないという点で、他では
違いすぎるほどに違う桐ヶ谷伊織と遠咲朱遊は共通している。
P.156 遠咲先輩は立ち上がり、白山さんに近づいて、彼女の耳元に顔を寄せた。
「わたしはね、ただ働きをするつもりはないの。白山さん、ひとつ約束して
くれるかしら。もしもわたしが、あの子たちの居場所を特定できたら、
そのときは――――――しなさい。それを受け入れられるなら、
協力しましょう」
P.156 「言っておくけど、その条件を平沢くんには伝えないでね。それも約束。
約束を破ったら、わたしがあなたに協力することは未来永劫ないでしょう」
P.205 「要するにだ。たとえばおまえは今、『確かにそこにいる』という状態に
なっているが、『國隠』はそれを『どこかにいるかもしれないしどこにも
いないかもしれない』という状態にできるんだ。それを利用して、
あとは『他のどこか』をこちらで決めてやる。どこでもいい。
地球の裏側でも宇宙の果てでも、好きなところを選んでから布を
取ればいい。そうすればおまえは、『どこかにいるかもしれないし
ここにもいないかもしれない』状態から、『確かにそこにいる』
という状態になる。まあもっとも、実際には距離や時間によって
ある程度制限されるが」
P.229 「んむぅ……ふふ、もう、くのえってば……くすうったいよぅ……」
もっとも心を許した相手にしか見せない無邪気な笑みとともに、白山さんは
衡の耳元でそんなことを囁いて彼の脳を沸騰させようと試みた。
P.229 九衛にも同じことをしているのだろう、衡の頬をぐにっとつまんで
いつまでもぷにぷにとその感触を楽しんでいる。身体を離して
逃れようにも白山さんの両足が衡の膝をがっちり挟んでいて
身動きできない。他人の太ももは温かくてやわらかいのだということを
衡は学習し、こみ上げてくるなにかを必死になって飲み下していた。
P.275 阿頼耶識というものがなんなのかはまったくもって理解できないが
――ものすごく自分勝手で、楽しいことが大好きで、行き当たりばったりに
生きている奴だということは、どうにか理解できた。それを踏まえた上で、
伊織はこんなことを思う。
実に親近感がもてる相手だ。
P.291 「誰にも秘密を話さずに、ずうっと心の中にしまっておいて、
目の前で他人が死にかけているからといって、自分の切り札を
使うことなんてないわ。切り札は、自分のためにのみ使うべきよ。
誰もあなたのことを、責めたりはしないわ――」
P.291 そのままの勢いで白山さんはその手のひらで朱遊の頬を張った。
P.303 「勘違い、するんじゃないぞ、ニンゲン。その程度で――
『夜房』を使えたからといって、自分がシロさまに認められたなんて
考えるんじゃない。それは非常措置だ。九衛がこんなザマに
なってしまったから、仕方なくお前を使ってやってるだけだ。
これが終わったら、おまえなんて、すぐに蚊帳の外に追い出して
やるんだからな――!」
P.316 「そのほっぺた、どうしたんですか?」
P.321 「白山さんが。正確には、白山さんみたいに、無垢で、愛らしくて、
おとなしい女の子が、困ったような、焦ったような、恥ずかしそうな
顔をしているのを見るのが。わたし、そういうのが純粋に好きなの」
P.322 「なに言ってるの。わたしが阿頼耶識の捜索に協力するにあたって、
白山さんに条件を出したのを忘れてたの?もしわたしたちが
阿頼耶識の居場所を探り当てたら、そのときは――」
P.322 「そのときは、白山さんが『図書館部』に入部する、って。
今日はその手続きのために白山さんを呼んだのよ?」
P.327 白山さんの目元が笑む。恥ずかしそうに、けれどもどこか、
悪戯めいた色を含んで。ようやくにして見ることのできた、
白山さんの『心からの笑顔』を、衡はなぜか直視することができず、
意味もなく入部届で自らの視界を塞いでしまった。
ん~,白山さん可愛い.
接触感の描き方が好いなぁ.
しっかし,猫はどうした?
奴に釣られて読んだのに…….
◇メモ
P.16 白山さんはしばらくそうして『窒息する少女』という題のパントマイムを
演じてから、おもむろにその手を振り上げて、
「あぶっ!?」
ろくな手加減もせずに、衡の顔面に叩きつけた。
P.16 転んだ白山さんが握っている、黒い鞄。横倒しになったその口から――
猫が首を出していた。
顔の半分だけでこちらを覗きながら、くるるるる、と軽快しているのか
甘えているのかよくわからない声が喉から漏れて、それで白山さんが
再び身体を起こした。
P.20 「如何したの、その顔」
「顔、ですか?」
首をかしげた衡に、桐ヶ谷伊織がおもむろに手鏡を差し出した。
受け取って、自分の顔を確認すると、綺麗な手形がついていた。
P.27 ただ彼は、『おもしろそうなこと』に対して、並々ならぬ興味を抱いて
いるというだけだ。
伊織が一度『おもしろそうなこと』を見つけてしまったら、
彼を止めるのは至難の業となる。伊織は全能力を使って
それを追求しようとするのだから。
P.155 つまり、『おもそろいこと』になによりも目がないという点で、他では
違いすぎるほどに違う桐ヶ谷伊織と遠咲朱遊は共通している。
P.156 遠咲先輩は立ち上がり、白山さんに近づいて、彼女の耳元に顔を寄せた。
「わたしはね、ただ働きをするつもりはないの。白山さん、ひとつ約束して
くれるかしら。もしもわたしが、あの子たちの居場所を特定できたら、
そのときは――――――しなさい。それを受け入れられるなら、
協力しましょう」
P.156 「言っておくけど、その条件を平沢くんには伝えないでね。それも約束。
約束を破ったら、わたしがあなたに協力することは未来永劫ないでしょう」
P.205 「要するにだ。たとえばおまえは今、『確かにそこにいる』という状態に
なっているが、『國隠』はそれを『どこかにいるかもしれないしどこにも
いないかもしれない』という状態にできるんだ。それを利用して、
あとは『他のどこか』をこちらで決めてやる。どこでもいい。
地球の裏側でも宇宙の果てでも、好きなところを選んでから布を
取ればいい。そうすればおまえは、『どこかにいるかもしれないし
ここにもいないかもしれない』状態から、『確かにそこにいる』
という状態になる。まあもっとも、実際には距離や時間によって
ある程度制限されるが」
P.229 「んむぅ……ふふ、もう、くのえってば……くすうったいよぅ……」
もっとも心を許した相手にしか見せない無邪気な笑みとともに、白山さんは
衡の耳元でそんなことを囁いて彼の脳を沸騰させようと試みた。
P.229 九衛にも同じことをしているのだろう、衡の頬をぐにっとつまんで
いつまでもぷにぷにとその感触を楽しんでいる。身体を離して
逃れようにも白山さんの両足が衡の膝をがっちり挟んでいて
身動きできない。他人の太ももは温かくてやわらかいのだということを
衡は学習し、こみ上げてくるなにかを必死になって飲み下していた。
P.275 阿頼耶識というものがなんなのかはまったくもって理解できないが
――ものすごく自分勝手で、楽しいことが大好きで、行き当たりばったりに
生きている奴だということは、どうにか理解できた。それを踏まえた上で、
伊織はこんなことを思う。
実に親近感がもてる相手だ。
P.291 「誰にも秘密を話さずに、ずうっと心の中にしまっておいて、
目の前で他人が死にかけているからといって、自分の切り札を
使うことなんてないわ。切り札は、自分のためにのみ使うべきよ。
誰もあなたのことを、責めたりはしないわ――」
P.291 そのままの勢いで白山さんはその手のひらで朱遊の頬を張った。
P.303 「勘違い、するんじゃないぞ、ニンゲン。その程度で――
『夜房』を使えたからといって、自分がシロさまに認められたなんて
考えるんじゃない。それは非常措置だ。九衛がこんなザマに
なってしまったから、仕方なくお前を使ってやってるだけだ。
これが終わったら、おまえなんて、すぐに蚊帳の外に追い出して
やるんだからな――!」
P.316 「そのほっぺた、どうしたんですか?」
P.321 「白山さんが。正確には、白山さんみたいに、無垢で、愛らしくて、
おとなしい女の子が、困ったような、焦ったような、恥ずかしそうな
顔をしているのを見るのが。わたし、そういうのが純粋に好きなの」
P.322 「なに言ってるの。わたしが阿頼耶識の捜索に協力するにあたって、
白山さんに条件を出したのを忘れてたの?もしわたしたちが
阿頼耶識の居場所を探り当てたら、そのときは――」
P.322 「そのときは、白山さんが『図書館部』に入部する、って。
今日はその手続きのために白山さんを呼んだのよ?」
P.327 白山さんの目元が笑む。恥ずかしそうに、けれどもどこか、
悪戯めいた色を含んで。ようやくにして見ることのできた、
白山さんの『心からの笑顔』を、衡はなぜか直視することができず、
意味もなく入部届で自らの視界を塞いでしまった。
コメント