6月20日の日記

2012年6月20日 読書
鈴木鈴『白山さんと黒い鞄〈2〉』電撃文庫

1巻とずいぶん趣向が変わったなあ.
まあ楽しく読んだけれど魅力が弱い.
白山さんと衡の恋の入口を描くようすが
なんとも,くどい感じになってるような.
それと,『信じてる』のテーマはいいけど
説明に頼る部分が多過ぎではないかな.
共に想定読者を下に広げようという工夫?

◇メモ
P.54 軍隊で配られるようなごつごつしたコートを羽織っている。袖に腕を
   通していないのはファッションのためではなくて、その下に纏う
   拘束衣によって両腕を封じられているからだ。異様に長い髪は
   当然のように少女の顔を包み隠していたが、彼女が少し顎を上げると、
   ぱらりと解けてその顔を窺うことができた。
    小振りな唇と、すらりと通った鼻筋だけを見れば、美少女と
   呼べるかもしれない。
    もっともそれは、目元に何重にも巻かれた包帯の存在を
   無視すれば、の話だ。
    包帯の、ちょうど目があるとおぼしきところには、黒い円が
   描かれている。幼稚園児がぐじゃぐじゃに塗り潰したかのような、
   乱暴な黒。それが自分を見据えている。

P.55 『迷妄アムネジア』Diablos 
    アムネジアって amnesia ? Diablos はモンハン??
P.59 家人からは、もうひとりの『ボク』は制服を着ていったと聞かされた。
P.59 「きみ以外に、頼める相手はいないよね、朱遊。というわけでもうひとりの
   ボクを探してくれないか?僕の正気如何によっては骨折り損になるかも
   しれないけれど、きみは『おもしろいこと』に関する骨折りを惜しまなかった
   はずだよね。だから、この件にも興味を引かれると思うんだけど」
P.67 「おれのことを絶対的に信頼して、すべての秘密を打ち明けろだなんて、
   そんなことを言うつもりはないよ。秘密はあって当然だ。ただ、今まで
   知らなかったことだったから、少し驚いただけだよ。気にしないでくれ」
P.76 「『偽者は女子の制服を着ているらしい』――? な、なんで?」
P.125 「いや、きみのせいじゃないだろ?あれは白山さんじゃなくて、
    以前の『鞄』の持ち主が逃がしたんだって言ってたじゃないか。
    白山さんが謝る必要はない」
P.153 けれど、『以前の持ち主』と衡が口にしたとき――自分の
    母親のことを、思い浮かべてしまったはずだ。ツバヒロ曰く、
    『失った』白山奈由花さんのことを。
P.163 「あんなに怯えているからいいんじゃないの。恐怖に震えている
    女の子って、いつもよりも数倍魅力が引き上がると思わない?」
P.168 ダークグレーのミリタリーコートはいいとして、その下に纏っている
    ホワイトグレーの拘束服は、なにかのホラーにしか思えない。
P.263 「おまえには、失望した。いや、そもそもなにも期待など
    していなかったけどな。それでも、――失望したぞ、コウ。
    それが言いたかっただけだ」
P.270 「重荷じゃない。おれは白山さんを信じている――いや、違うな。
    白山さんがおれのことを信じていると知っているんだ。
    さっき九衛に言われたとおりにな」
P.272 「こっちの衡くんが、本物だと思いますから。だから、
    わ、わたしが、『確認』、します」
P.287 「――よくシロさまをお守りしてくれたな。そのことだけは、まあ、褒めて
    やらんでもないし――さっきの言葉を、取り消してやらんでも、ない」
P.300 「白山さん、いつからおれが、きみのことを信じていないなんて
    思い込んでいたの?」
P.300 「あのとき衡くんが、秘密があるのは当然だって言ったのを聞いて。
    そんあことないって、思ったの。わたしは、衡くんにだけは秘密を
P.301 作らないようにしてる。衡くんに代替わりの話をしなかったのは、
    ただ忘れていただけなのに――ううん、違う、」
     喘ぐように顔を上げて、白山さんは顔を傾けて、衡のことを見る。
    「忘れようとしてたの。だってね、だって――楽しかったから。衡くんと
    一緒にいるの。『図書館部』のみんなと一緒にいるの。とっても、とっても
    楽しかったから。鞄のことなんて忘れてしまいたかった。ずっと
    衡くんたちと潜水艦ゲームやチェスをやっていたかった。でも」

P.301 「『わたしはあなたを信じている』。――そんなの、なんの意味もないよ」

P.301 「本当に信じて欲しいのなら。わたしがあなたを信じていると知って
    ほしいのなら、公道で示さなくちゃ。口先だけなら、誰でもなんとでも
    言えるもん。わたし、頭が悪いから、他の人がなにを考えているかは
    全然わからないけど、そのことだけは、ようく知ってるんだよ」


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