田中ロミオ『灼熱の小早川さん』ガガガ文庫
どっしりと重いライトノベル.(謎)
なんか色々と凄い.自意識むっちり.
裏表紙の『観察系』ってどこからだ?
鬱陶しく感じる部分もあったけれども
恋の入口の美味しさで読み進めたら
260頁からの炸裂が素敵だった.
心が老化してると消化不良起こすかも.
読むなら,なるべく一気に読むのがいい.
AURAは,こんなには来なかったなぁ.
◇メモ
P.14 少女が抜き身の剣を手にしていたのだ。
いつ取り出したのか。どうやって携帯していたのか。いやそんな疑問よりも、
何よりも、刀身にまとわりつく赤いゆらぎはまぎれもなく炎で。
その凶悪な炎の剣を、彼女は両手で振りかぶった。
P.47 「……電源の私的使用全面禁止だってよ」
教室の後部ロッカーに突っ込まれていたドライヤーやら携帯充電器やら
小型冷蔵庫やらノートPCやらがガラクタと化した。
…小型冷蔵庫?
P.95 彼女は姿見の前に立ち、きわめて特殊な装身具を頭に
のせていた。ネコミミだ。
P.124 そして直幸は教室を出て、便所に入り、掃除用具を入れてある
ロッカーを、ほどほどの力で蹴飛ばした。
ドアが開いて、男子生徒が転がり出てきた。便所に転んで手をつく。
「あーあーあー、きったねーな。なにやってんの?ええと、片山、だっけ?」
あまり話したことのないクラスメイトの男子生徒だ。
背が低くてはしっこくて声が高くて、入学直後はやたら騒いでいた
記憶がある。最近はおとなしくなっていたが。
「かくれんぼ」
P.186 先ほどの一幕とて下手に頼み込んでどうにか理解してもらっただけである。
…下手に「へた」のルビ.「したて」「しもて」あたりがどうして??
P.246 「片山は家庭の事情で転校することになった。急な話なのでもういないが、
クラスの皆によろしくと言付かっている」
P.246 なんだそりゃ。辞めちゃうし。存在感ない奴だったな。ノリ悪かったしな。
まあよろしく宣言ってことで後腐れなくお別れだな。一Bの面々が口々に言う。
直幸は振り返って、後ろの方にぽつんと空いている、片山の席を顧みた。
きっとクラスの誰も、自分たちが悪ふざけの延長線上にある行為に
加担したとは思ってもいないだろう。誰かが片山に「暗いなおまえ」と言い、
また別の誰かが冗談でロッカーに閉じ込め、さらに別の者が「ノリが悪い」と
なじる。それをされたほうは、こう思う。「クラス全体にいじめられた」と。
P.259 指が痺れた。
目線を少しだけ落とすと、痺れるのも当然で、直幸の右手は
氷の刃を握りこんでいたのだ。剣というほどの長さはない。短刀、いや
大型ナイフ程度のものだ。
P.259 それは直幸の心から滲み出た、選ばれし者のみが手にできる
伝説のソードだ。やっとそのことを理解できた。
P.260 「いちいち理由をつけて人を好きになるわけじゃないから」
P.260 直幸は感動とともにその光景を間近に見た。
小早川千尋の手に、あの、炎の剣が握られている様を。
ずっと判然としなかったその幻視の正体が、今ようやく
理解できた気がした。
空気を読んで、読んで、読解して解析することばかり
考え続けた人間だけが、その伝説の武具を時に
幻視することができる。
P.261 空気、それは時に人の意思を歪めて愚行に走らせる、強迫的互助関係。
そんな怪物じみたものにひとりきりで立ち向かうには、武器が必要なのだ。
震える手をぎゅっと握りしめ、見えない武器を手に取って、やっと対等に
戦えるのだ。
どっしりと重いライトノベル.(謎)
なんか色々と凄い.自意識むっちり.
裏表紙の『観察系』ってどこからだ?
鬱陶しく感じる部分もあったけれども
恋の入口の美味しさで読み進めたら
260頁からの炸裂が素敵だった.
心が老化してると消化不良起こすかも.
読むなら,なるべく一気に読むのがいい.
AURAは,こんなには来なかったなぁ.
◇メモ
P.14 少女が抜き身の剣を手にしていたのだ。
いつ取り出したのか。どうやって携帯していたのか。いやそんな疑問よりも、
何よりも、刀身にまとわりつく赤いゆらぎはまぎれもなく炎で。
その凶悪な炎の剣を、彼女は両手で振りかぶった。
P.47 「……電源の私的使用全面禁止だってよ」
教室の後部ロッカーに突っ込まれていたドライヤーやら携帯充電器やら
小型冷蔵庫やらノートPCやらがガラクタと化した。
…小型冷蔵庫?
P.95 彼女は姿見の前に立ち、きわめて特殊な装身具を頭に
のせていた。ネコミミだ。
P.124 そして直幸は教室を出て、便所に入り、掃除用具を入れてある
ロッカーを、ほどほどの力で蹴飛ばした。
ドアが開いて、男子生徒が転がり出てきた。便所に転んで手をつく。
「あーあーあー、きったねーな。なにやってんの?ええと、片山、だっけ?」
あまり話したことのないクラスメイトの男子生徒だ。
背が低くてはしっこくて声が高くて、入学直後はやたら騒いでいた
記憶がある。最近はおとなしくなっていたが。
「かくれんぼ」
P.186 先ほどの一幕とて下手に頼み込んでどうにか理解してもらっただけである。
…下手に「へた」のルビ.「したて」「しもて」あたりがどうして??
P.246 「片山は家庭の事情で転校することになった。急な話なのでもういないが、
クラスの皆によろしくと言付かっている」
P.246 なんだそりゃ。辞めちゃうし。存在感ない奴だったな。ノリ悪かったしな。
まあよろしく宣言ってことで後腐れなくお別れだな。一Bの面々が口々に言う。
直幸は振り返って、後ろの方にぽつんと空いている、片山の席を顧みた。
きっとクラスの誰も、自分たちが悪ふざけの延長線上にある行為に
加担したとは思ってもいないだろう。誰かが片山に「暗いなおまえ」と言い、
また別の誰かが冗談でロッカーに閉じ込め、さらに別の者が「ノリが悪い」と
なじる。それをされたほうは、こう思う。「クラス全体にいじめられた」と。
P.259 指が痺れた。
目線を少しだけ落とすと、痺れるのも当然で、直幸の右手は
氷の刃を握りこんでいたのだ。剣というほどの長さはない。短刀、いや
大型ナイフ程度のものだ。
P.259 それは直幸の心から滲み出た、選ばれし者のみが手にできる
伝説のソードだ。やっとそのことを理解できた。
P.260 「いちいち理由をつけて人を好きになるわけじゃないから」
P.260 直幸は感動とともにその光景を間近に見た。
小早川千尋の手に、あの、炎の剣が握られている様を。
ずっと判然としなかったその幻視の正体が、今ようやく
理解できた気がした。
空気を読んで、読んで、読解して解析することばかり
考え続けた人間だけが、その伝説の武具を時に
幻視することができる。
P.261 空気、それは時に人の意思を歪めて愚行に走らせる、強迫的互助関係。
そんな怪物じみたものにひとりきりで立ち向かうには、武器が必要なのだ。
震える手をぎゅっと握りしめ、見えない武器を手に取って、やっと対等に
戦えるのだ。
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