アサウラ『ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円』集英社スーパーダッシュ文庫

半年あいたのか……本来のペースねえ.
青少年健全育成条例に喧嘩売るような
そういう成分が新鮮だったかなぁ.
戦闘場面の無理加減は相変わらずだけど
夕暮れの河原で拳と拳で語り合う類の
妄想ちゃん度合が普段より強かったかも.
口絵のストックのストラップの取回しが笑える.

◇メモ
P.10 『焼きラーメン&炒飯弁当』,『豪華海苔弁当』
P.66 『焼きかに飯弁当』,『鯛飯弁当』,『鯛の兜煮弁当』
P.67 「鯛は昨年の月桂冠で口にしたからな。それに睨み鯛は普通三が日には
   手をつけないんだぞ。地域や家にもよるが、焼いた鯛を毎回膳に飾り、
   そして三が日が終わるとその身を茶漬けとかにして食べる、というわけだ」
P.92 各々が今宵の夕餉の蓋を開いて、その湯気を解き放つ。その中で
   一際強く香るのは白粉の兜煮だ。甘じょっぱい醤油で煮付けられた鯛の頭。
   添えられているのは良い色合いに煮込まれた長ネギだ。
P.93 「あっ、白粉さんのご飯、お焦げがあるですね~いいなぁ~」
P.93 僕も己の夕餉に手を伸ばす。先ほど数秒程度だけ温めたので、ほんのりと
   温かい太巻き。玉子焼きと一緒に桜田麩が入っていてほんのり甘い。
   ……ふむふむ、なるほど、確かにご飯の味が濃いような気がする。
   寿司酢が、ではなく、ご飯そのものの味がしっかりしている印象である。
P.94 白粉に負けていられないな、と、何だかよくわからないことを言って先輩は
   今一度『焼きかに飯弁当』の蓋を開けた。一度開けようとしたものの、
   どうやら白粉の兜煮の匂いに意識を持っていかれて蓋をまた降ろして
   しまっていたようだ。
    今一度その封印を解かれたそれからは、何とも香ばしい匂い!!
   僕と茉莉花は「おぉ!」と声がハモった。焼きかに飯……しかも土鍋の
   援護が入ってのそれだ。この匂いも頷ける。
    しかもこの弁当はそれだけじゃない。鯛飯のほうと同じく、紅白のかまぼこ、
   伊達巻き、昆布巻き、お多福豆などのお正月らしくも強力なバックアップが
   いる。ここ数年、まともなおせち料理を食べていない僕からすると何とも
   羨ましくなる構成だ。もちろんほうれん草のゴマ和えもいいし、里芋、椎茸、
   ニンジン、コンニャクの煮物だっていい。しかもこの煮物、比較的淡白な
   味になりやすいメインのかに飯の風味を損なわないように、薄味で
   煮込んだ感じだ。もしかしたらニンジンの赤と里芋の白で紅白を
   表現する狙いがあるのかもしれない。
    先輩の箸がメインのかに飯へ伸びる。かに飯は弁当容器の約半分を
   占めていて、この手の弁当にしてはかなり大盛りだろう。表面はかにの
   解し身が占め、豪華さの演出として縦割りにされたズワイガニの足が
   さらに三本。編みで焼いたのが想像出来る焦げ目がついていて、あの
   蓋を開けた時の香ばしさはこれの力が大きかったのかもしれない。
    しかもこの弁当にはヘナった三つ葉こそ添えられているが、それ以外の
   ものがご飯の上にない。あの存在意義がわからないグリーンピースはなく、
   玉子や海苔でかにの量を誤魔化すようなこともしていないのだ。
   色合いよりも食べての気持ち、そしてストレートな表現によって豪華さを
   飾ることなく伝えてくる、そんな見事なかに飯だった。
   「おっ?このかに飯、炊き込みご飯のかに飯か。嬉しい誤算だな」
   ……なん……だと……? 僕と茉莉花は思わず首を伸ばすようにして
   先輩の箸先を見るのだが……本当だ。てっきりご飯か酢飯の上に
   かにの身を敷き詰めただけのものかと思ったら……ほんのり出汁の色に
   染まったかにの身が、下のご飯にも一杯だ。じゃあ何か? かにの身と
   一緒にご飯を土鍋で炊き上げ、それを弁当容器に詰めたその上に、
   さらにかにの身を敷き詰め、足を三本載せたというのか!?
   そ、そんな贅沢三昧しても許されるのか!? いくら定価設定が
   ちょい高めになっていたからって、さすがにお国が黙っていない
   レベルじゃないのか!? 昔の日本なら非国民と蔑まれて石を
   投げられたって文句言えないレベルだぞ!?
    先輩は大きく掬うようにしてパクッと一口。白粉のように口をすぼめて
   美味さがしみ入ってくる感じではなく、身を委ねるように彼女は瞼を閉じ、
   天上を見上げるように脱力した。
   「……私の持論だが、かにはやはり生や鍋よりも、殻ごと焼いたのが
   ベストだな。エビやかになどの甲殻類の風味はその殻に詰まっていると
   いっても過言ではない。……このかに飯は、そんな私の持論を
   裏付けてくれる、そんな味だな」
P.96 ――これは……かに、だ。ご飯についている風味は昆布出汁だろうか、
   とにかくほんのりと甘く出汁の風味があるが、それより何より凄まじいのは
   香ばしいかにの味!! これは焼いた甲羅で出汁を取ったかな?さらに
   ふっくらとしたご飯に混ぜられているかにの身は焼かれたことで水分が
   薄れ、少し硬いが味は濃い。つまり二種の食感が口の中で混在……
   いや、競演していた。かにが有する贅沢さ、それをたった一口でこんなにも
   感じるものなのか。しかも僕が食べさせてもらった箇所にはお焦げも
   入っていて……あれだな、お焦げもある種の調味料や食材の一つなんだな。
P.200 そう、言ってみるものの……考えれば考えるほど、日本で言うところの
   フレンチキスとは逆の、本来の意味でのフレンチキスでもしないと飴が
   取れないような気がする。
   …日本で言うところのって?とWikipediaみた……んな意味知らんぞ.(笑)
P.223 各自にプラスチックフォークを渡すと
    …カップヌードルのフォークって今でも添付されることある?
P.270 秋鹿の見つめる先にあったのは、かつて口にし、かつて後輩に持って
    いかれた……この店で最もうまいとされる、極めつきの弁当だった。
    そう、『おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当
    すぺしゃる』である。すぺしゃる、と、ひらがなで書かれているあたりが、
    また、何とも言えずいい味を出していた。
     高さのある二段構成。円柱状の上段と四角い下段。上段にはゴロッとした
    大きな具材が嬉しい、あのローリエ香るカレールーがたっぷりだ。
     下段は大型であり、二つのゾーンに分かれていた。ライスとおかず。
    カレーにおかずというのもおかしな話だが、ないよりはあった方が嬉しいに
    決まっている。マイタケ、ブロッコリー、ヤングコーンの温野菜、
    フライドポテト、卯の花、マカロニサラダ、伊達巻き、カマボコ、
    栗きんとん……。和洋折衷、正月商品の在庫処分をしつつもカレーと
    ぶつからず、温めてもおいしくいただけるラインアップに、本日の惣菜の
    一部を少々といったところ。バランスもいい。
     そして、もう一つのゾーンであるご飯にはピザ用と思しき短冊切りに
    なったチーズが振りかけられていた。弁当容器の縁がはっきりと見えて
    いるので、一見ご飯の量が少ないように感じられるが……そうではない。
    単にカレーをここに入れた際に溢れ出ないための考慮である。容器が
    深く作られているだけで、ご飯の量自体が少ないわけではないのだ。

コメント

nophoto
Ben
2012年10月30日17:21

Great common sense here. Wish I’d thgouht of that.

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