杉井光『楽聖少女2』電撃文庫
ん~~~,美味しい.324頁とか359頁にある
気恥ずかしくなりそうな真っ直ぐな言葉が
ちゃんと嵌っているあたりも杉井魔術かな.
◇メモ
P.62 「ベーコンとチーズのピアノ線巻き、煮豆の白鍵黒鍵サンド、
共鳴板と譜面台のフレッシュサラダなどです」
P.114 「ふん。おまえがファウストか」
P.115 なぜ――その名を知っている?
P.130 「だが勝てない。必ずセントヘレナにたどり着く。そして――目が醒めると
――最初からだ。俺はまた繰り返す。議会を攻撃し、執政官に、
そして皇帝になり、スペインもイタリアもオーストリアもプロイセンも
ポーランドもロシアも踏みにじる。これだけの力があるのに、結果など
すべて知っているはずなのに、なにか俺の知らないことが起きる。
どこかでテクノロジーが俺に追いつく。繰り返すたびに、あるはずのない
技術が生まれてる。まるで、戻ってきた俺を潰すためみたいにだ」
前身が細かい泡に覆われたようなおぞましい違和感が沸き起こる。
際限なく繰り返されるナポレオンの一生。輪が一巡りするたびに
少しずつ進化する世界。ナポレオンを歴史通り負けさせるために?
それがこの世界の歪みの理由?
P.179 彼が囚われている絶望的な『繰り返し』については伏せておいた。
あれは、僕にだけ話してくれたような気がしたのだ。だから、
ナポレオンの抱いていたテクノロジーへの恐怖を正確に伝えることは
できなかった。カールさんもナネッテサンも、ルゥまで訝しげな目を
僕に集めてくる。
P.193 一番小さい二股尻尾の黒猫
…十六分音符的尻尾なら猫又とは違うか.
P.267 「なんでぼくがメフィを責めなきゃいけないんだい」
「……え?」
「きみは悪魔だろう。悪魔として人間を誘惑したんだろう?
猫が爪を研ぐようなものだ。大切なピアノの足で爪を研がれたら、
……うむ、む、ちょっとは腹が立つが、しかし猫を叱ったって
聞きやしない。だって爪を鋭くしておくのは猫の誇りのためだからね」
P.303 魔女の九九
P.321 止めるのは僕のエゴだ。
僕は――あんたを喪くしたくないんだ。
P.324 憧れだ。
歓喜に心震わせ、けれど満たされない者が、憧れに身を焦がす。
与えられた美しさでは満たされないから、他の誰も満たしては
くれないから、僕らはペンをとり、白紙を目の前に広げ、
自分の手で書き出すのだ。いつか祖父が教えてくれた通りだ。
憧れだけが時代をつくる。
P.346 「この借りは絶対に倍にして返す。憶えてとけ」
「……え? あ、いや、あの、ごめんなさい、
謝りますからかんべんしてください」
「なんでてめえが謝るんだぶち殺すぞ」なんでますます怒るのっ?
「そういう意味じゃねえよ、そのままの意味で借りだ、馬鹿野郎」
P.357 メフィともう一年以上一緒にいて、わかったことがある。
悪魔は嘘をつかないのだ。真実をすべて語らないだけ。
P.369 ゲーテが僕に求めたもの。
それは、僕にしか書けない物語。僕だけの『ファウスト』だ。
幾多の心躍る物語に触れ、飲み干し、揺さぶられながら、
けれど満たされない――ほんとうに望む物語に出逢えない、
そんな渇望を抱いた者だけが、自分の手で物語を紡ぎ始める。
憧れを帆に孕み、存在するかどうかさえわからない
新しい大地を目指して、海に漕ぎ出すのだ。
ん~~~,美味しい.324頁とか359頁にある
気恥ずかしくなりそうな真っ直ぐな言葉が
ちゃんと嵌っているあたりも杉井魔術かな.
◇メモ
P.62 「ベーコンとチーズのピアノ線巻き、煮豆の白鍵黒鍵サンド、
共鳴板と譜面台のフレッシュサラダなどです」
P.114 「ふん。おまえがファウストか」
P.115 なぜ――その名を知っている?
P.130 「だが勝てない。必ずセントヘレナにたどり着く。そして――目が醒めると
――最初からだ。俺はまた繰り返す。議会を攻撃し、執政官に、
そして皇帝になり、スペインもイタリアもオーストリアもプロイセンも
ポーランドもロシアも踏みにじる。これだけの力があるのに、結果など
すべて知っているはずなのに、なにか俺の知らないことが起きる。
どこかでテクノロジーが俺に追いつく。繰り返すたびに、あるはずのない
技術が生まれてる。まるで、戻ってきた俺を潰すためみたいにだ」
前身が細かい泡に覆われたようなおぞましい違和感が沸き起こる。
際限なく繰り返されるナポレオンの一生。輪が一巡りするたびに
少しずつ進化する世界。ナポレオンを歴史通り負けさせるために?
それがこの世界の歪みの理由?
P.179 彼が囚われている絶望的な『繰り返し』については伏せておいた。
あれは、僕にだけ話してくれたような気がしたのだ。だから、
ナポレオンの抱いていたテクノロジーへの恐怖を正確に伝えることは
できなかった。カールさんもナネッテサンも、ルゥまで訝しげな目を
僕に集めてくる。
P.193 一番小さい二股尻尾の黒猫
…十六分音符的尻尾なら猫又とは違うか.
P.267 「なんでぼくがメフィを責めなきゃいけないんだい」
「……え?」
「きみは悪魔だろう。悪魔として人間を誘惑したんだろう?
猫が爪を研ぐようなものだ。大切なピアノの足で爪を研がれたら、
……うむ、む、ちょっとは腹が立つが、しかし猫を叱ったって
聞きやしない。だって爪を鋭くしておくのは猫の誇りのためだからね」
P.303 魔女の九九
P.321 止めるのは僕のエゴだ。
僕は――あんたを喪くしたくないんだ。
P.324 憧れだ。
歓喜に心震わせ、けれど満たされない者が、憧れに身を焦がす。
与えられた美しさでは満たされないから、他の誰も満たしては
くれないから、僕らはペンをとり、白紙を目の前に広げ、
自分の手で書き出すのだ。いつか祖父が教えてくれた通りだ。
憧れだけが時代をつくる。
P.346 「この借りは絶対に倍にして返す。憶えてとけ」
「……え? あ、いや、あの、ごめんなさい、
謝りますからかんべんしてください」
「なんでてめえが謝るんだぶち殺すぞ」なんでますます怒るのっ?
「そういう意味じゃねえよ、そのままの意味で借りだ、馬鹿野郎」
P.357 メフィともう一年以上一緒にいて、わかったことがある。
悪魔は嘘をつかないのだ。真実をすべて語らないだけ。
P.369 ゲーテが僕に求めたもの。
それは、僕にしか書けない物語。僕だけの『ファウスト』だ。
幾多の心躍る物語に触れ、飲み干し、揺さぶられながら、
けれど満たされない――ほんとうに望む物語に出逢えない、
そんな渇望を抱いた者だけが、自分の手で物語を紡ぎ始める。
憧れを帆に孕み、存在するかどうかさえわからない
新しい大地を目指して、海に漕ぎ出すのだ。
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