平坂読『僕は友達が少ない CONNECT』MF文庫J
短編集だけど,しっかり本編級の充実感があった.
著者があとがきで書いている内容はもっともな感じで
8巻の後,9巻の前に読むのが良い作品.
小鷹視点では描けないエピソードというけど,驚いたのは
「はじまりの翼」の最後の行のステラくらいかなぁ.
他は,これまでの本編読んでいてなんとなく感じていたような.
……表紙の大きい方のキャラは説明読むまでわからなかった.
『スーパーノヴァ』の最後112頁の書き方から妄想を逞しくすると
物凄く暗い夜空編がこの先書かれるのかもしれない…….
◇メモ
見開きQRコード 恐るべき存在=〆切、近しき者達=出版関係者
絶え間なく迫り来る恐るべき存在に対して長きにわたり
抗い、幾度となく破ってきた男。その傍らには常に、近
しき者達の涙があった――。
P.66 今流行の、ボディコンスタイルというやつだろう。
ナウい格好 …1980年代設定か.
P.77 普段より元気がないように見えたアイリが、唐突に怒りの形相で
「いい加減に好きですってゆえ!!」と隼人に向かって叫び、隼人が
反射的に「ハ、ハイ!好きです!!」と叫び返した。
アイリはさらに「ほんじゃあ付き合ってくださいってゆえ!!」と叫び、
隼人は「あ、はい!つ、付き合ってください!!」と叫び返した。
その言葉にアイリは顔を真っ赤にして、蚊の鳴くような声で、
「………………うん」
P.81 キスをしたのがどちらからだったのかは、よくわからない。
なんとなく流れで、どちらからともなく顔が近づき、唇がくっついた。
そのまま――なんとなく流れで、体を重ねた。
そういえば、隼人とアイリは最近になってようやく初めて手を繋いだらしい。
P.88 「ステラ・レッドフィールドです。はじめまして、お父さん」
P.111 人は誰しも闇を抱えて生きているものだ。そうでなければ生きられない。
しかしこの暴力的な光の前には、そんじょそこらの闇など
一瞬で焼き尽くされてしまう。
きっと彼女と並び立つには――星一つない夜空のごとき、
大きく深い闇が必要なのだ。
なんだかんだで親に愛され友人にも恵まれた自分のごとき普通の
人間には、抱えようがないほどの[リッシンベン昏]い闇が。
…仏教(唯識教学)の [リッシンベン昏]沈(コンジン)あたりから
引っぱってきたのかな?こんな字.
…星一つない夜空
北アルプスのど真ん中の谷間で雨の中歩いているとき
ライトを消すと,瞼を明けても閉じても何も変わらない闇を観たけど
「夜空」としては認識しなかったなぁ.
P.112 いつかきっと、彼女の光に匹敵するほどの闇をかかえた『誰か』が、
彼女の前に現れるだろう。
その時こそ、彼女は本当に輝くのだろう。
そしてその時こそ、彼女は救われ――彼女もまた、
その『誰か』を救うだろう、と。
P.174 肉体が僕の脳についてこれないんだ!
…タッチシステムで打っていて同じようなことを言ってるなあ,わたし.
P.184 そんな自虐を込めてこの可愛くない僕は『理科室登校』と言った。
それを聞いた彼の反応は劇的だった。
P.185 思い通りにならない苛立ち、周囲に理解されない寂しさ、不条理な
現実に対する憤り、世界が優しくないことを思い知りながらそれでも
なお諦められない希望――彼の視線の中に様々な感情が入り交じり
フラクタル化して僕の脳髄を貫く。複雑すぎる情報はいつもなら
気分が悪くなるのに、不思議と不快感はなかった。
「……そっか。なんていうか……お前もいろいろあるんだな」
クラスに馴染めない可哀想な子への上から目線の同情ではなく、
クラスの一員として他の生徒と交わりながら過ごすなんて当たり前の
こともできない人間への蔑みでもなく――なんだこれ、共感……?
……おい……お前まさか……貴様ごとき十把一絡げのチンカス風情が、
この天才と対等だと思ってるんじゃないだろうな。
屈辱感?羞恥心? に顔がカッと熱くなるのがわかった。
「そんな優しい目で見ないでください先輩。照れてしまいます」
照り焼きにしてやろうか。
P.228 なにを言われたのかは知らないが、男たちの一人が怒りにまかせて
叫びながら星奈につかみかかった。
慌てて星奈を助けるべく駆け出すステラ。だが間に合わない。
(くっ!星奈の身体に傷でもつけたらブチ殺しますよ!)
しかしそんな男の腕を、小鷹が掴んだ。
(ほう……?)
ステラは足を止め、もう少し様子を見守ることにした。
別の男が小鷹に殴りかかる。小鷹は腕を掴んでいた男を、
向かってくる男の方へと突き飛ばした。二人が衝突する。残りの一人が
さらに殴りかかってきたのをかわし、後ろに回ってその腕をひねる。
男の身体を金網に押しつけて、小鷹が凶悪な笑みを浮かべて何かを言うと、
男達は怯えて戦意を失い、逃げ出した。
P.235 この正宗像は姫子が大学時代、街で眼帯を付けた金髪碧眼の
凄い美少女を見かけたのをきっかけに思いついたもので、何年もの間
ずっと暖め続けてきたものを、このたび満を持して登場させた。
タイトル横の説明は著者によるもの.
【動き出した時間】動くまで時間がかかり動き出してもすぐ止まる系女子、三日月夜空。
夜空視点
【なぞなぞ】息抜き的な話1。
夜空視点
【はじまりの翼】正直、天馬がここまでの重要人物だったとは実は作者も思って
いませんでした。アイリも初登場。この両親にして小鷹&小鳩の
兄妹というわけです。ちなみに今回の表紙イラストは女子高生
時代のアイリと、ケツで割り箸を割ることに夢中だった時代の
小鳩という実際にはありえない組み合わせで、とても切ないです。
天馬視点
【星二つ】息抜き的な話2。はがない4の104ページあたりの裏側です。珍しい
組み合わせをお楽しみください。ちなみに幸村はモバイルゲーム嫌い。
既刊にて小鷹も言ってますが、意外と好き嫌いは明確にある娘です。
星奈視点
【スーパーノヴァ】当初はもっと昼ドラ的なドロドロした内容になると思っていましたが、
幸い父がいなくても幸せな幼年期を送れたのでステラの内面が
あまり黒くなりませんでした。4の118ページの行動の理由は、
避妊は大切だという姉心。
ステラ視点
【カムパネルラ】日本よ、これがリア充だ。……天馬による学校改革の影響は
良くも悪くもちゃんと出ているという話でもあります。方言は
舞台のモデルになった作者の地元のもので、関西系の印象を
受けるかもしれませんがアクセントは関東寄りと、文章だけでは
わかりにくいです。語り手の小鷹が同級生と喋る機会が少ないのと、
高校生にもなると方言を使いたがらなくなるので、これまでは
マリアがたまに使うくらいであまり前面には出ませんでした。
タイトルは『銀河鉄道の夜』からですが、作中の何のメタファー
かというと、色々です。なにげに小鷹と小鳩のキレるポイントが
一緒なのも注目。
若木光太視点
【プレス】姉バカ日誌。タイトルは breath と bless の両方です。
ケイト視点
【クオリア/もう一つの動き出した時間】
序盤の最重要シーン、小鷹の根本にあるものが一瞬浮き彫りになる
2の63ページあたりの補完を主な目的として書き始めた話ですが、
よりによって理科の一人称という形式を選んでしまったがために
大変なことに。苦労した分お気に入りです。
理科視点
【魔人が生まれた日】息抜き的話3。夜空と理科は割とウマが合います。
中性的な部分や中二病のケがあるところとか、
お互い通じるものがあるのでしょう。
理科視点
【スターゲイザー】姉バカ日誌2。あと、『星二つ』の「さすがの星奈も他人に
エロゲーやっているのをみられるのは恥ずかしい」というのを
思い出していただければ。
ステラ視点
【曇りなき心の月を先だてて】幸村の家庭の事情編。登場人物の驚きの片親率
……共通する環境だからこそ共通する点が生まれ
だからこそ出逢ったとかそんな感じでひとつ。幸村が
ゲームやケータイを難なく使いこなしていた伏線を
やっと回収できました。
楠姫子(幸村の母親)視点
【手を取れるように】もはや主人公の風格。タイトルの由来は『NEXT』の主題歌の
フレーズから。
理科視点
【コネクト/プロローグが終わり、羽瀬川小鷹が主人公になったとき】
8のラストから直接続いているエピソードです。8の最後に
描くべきか迷ったのですが、ここはさすがに綺麗に終わるべき
だろうということで今巻に入りました。
夜空視点
短編集だけど,しっかり本編級の充実感があった.
著者があとがきで書いている内容はもっともな感じで
8巻の後,9巻の前に読むのが良い作品.
小鷹視点では描けないエピソードというけど,驚いたのは
「はじまりの翼」の最後の行のステラくらいかなぁ.
他は,これまでの本編読んでいてなんとなく感じていたような.
……表紙の大きい方のキャラは説明読むまでわからなかった.
『スーパーノヴァ』の最後112頁の書き方から妄想を逞しくすると
物凄く暗い夜空編がこの先書かれるのかもしれない…….
◇メモ
見開きQRコード 恐るべき存在=〆切、近しき者達=出版関係者
絶え間なく迫り来る恐るべき存在に対して長きにわたり
抗い、幾度となく破ってきた男。その傍らには常に、近
しき者達の涙があった――。
P.66 今流行の、ボディコンスタイルというやつだろう。
ナウい格好 …1980年代設定か.
P.77 普段より元気がないように見えたアイリが、唐突に怒りの形相で
「いい加減に好きですってゆえ!!」と隼人に向かって叫び、隼人が
反射的に「ハ、ハイ!好きです!!」と叫び返した。
アイリはさらに「ほんじゃあ付き合ってくださいってゆえ!!」と叫び、
隼人は「あ、はい!つ、付き合ってください!!」と叫び返した。
その言葉にアイリは顔を真っ赤にして、蚊の鳴くような声で、
「………………うん」
P.81 キスをしたのがどちらからだったのかは、よくわからない。
なんとなく流れで、どちらからともなく顔が近づき、唇がくっついた。
そのまま――なんとなく流れで、体を重ねた。
そういえば、隼人とアイリは最近になってようやく初めて手を繋いだらしい。
P.88 「ステラ・レッドフィールドです。はじめまして、お父さん」
P.111 人は誰しも闇を抱えて生きているものだ。そうでなければ生きられない。
しかしこの暴力的な光の前には、そんじょそこらの闇など
一瞬で焼き尽くされてしまう。
きっと彼女と並び立つには――星一つない夜空のごとき、
大きく深い闇が必要なのだ。
なんだかんだで親に愛され友人にも恵まれた自分のごとき普通の
人間には、抱えようがないほどの[リッシンベン昏]い闇が。
…仏教(唯識教学)の [リッシンベン昏]沈(コンジン)あたりから
引っぱってきたのかな?こんな字.
…星一つない夜空
北アルプスのど真ん中の谷間で雨の中歩いているとき
ライトを消すと,瞼を明けても閉じても何も変わらない闇を観たけど
「夜空」としては認識しなかったなぁ.
P.112 いつかきっと、彼女の光に匹敵するほどの闇をかかえた『誰か』が、
彼女の前に現れるだろう。
その時こそ、彼女は本当に輝くのだろう。
そしてその時こそ、彼女は救われ――彼女もまた、
その『誰か』を救うだろう、と。
P.174 肉体が僕の脳についてこれないんだ!
…タッチシステムで打っていて同じようなことを言ってるなあ,わたし.
P.184 そんな自虐を込めてこの可愛くない僕は『理科室登校』と言った。
それを聞いた彼の反応は劇的だった。
P.185 思い通りにならない苛立ち、周囲に理解されない寂しさ、不条理な
現実に対する憤り、世界が優しくないことを思い知りながらそれでも
なお諦められない希望――彼の視線の中に様々な感情が入り交じり
フラクタル化して僕の脳髄を貫く。複雑すぎる情報はいつもなら
気分が悪くなるのに、不思議と不快感はなかった。
「……そっか。なんていうか……お前もいろいろあるんだな」
クラスに馴染めない可哀想な子への上から目線の同情ではなく、
クラスの一員として他の生徒と交わりながら過ごすなんて当たり前の
こともできない人間への蔑みでもなく――なんだこれ、共感……?
……おい……お前まさか……貴様ごとき十把一絡げのチンカス風情が、
この天才と対等だと思ってるんじゃないだろうな。
屈辱感?羞恥心? に顔がカッと熱くなるのがわかった。
「そんな優しい目で見ないでください先輩。照れてしまいます」
照り焼きにしてやろうか。
P.228 なにを言われたのかは知らないが、男たちの一人が怒りにまかせて
叫びながら星奈につかみかかった。
慌てて星奈を助けるべく駆け出すステラ。だが間に合わない。
(くっ!星奈の身体に傷でもつけたらブチ殺しますよ!)
しかしそんな男の腕を、小鷹が掴んだ。
(ほう……?)
ステラは足を止め、もう少し様子を見守ることにした。
別の男が小鷹に殴りかかる。小鷹は腕を掴んでいた男を、
向かってくる男の方へと突き飛ばした。二人が衝突する。残りの一人が
さらに殴りかかってきたのをかわし、後ろに回ってその腕をひねる。
男の身体を金網に押しつけて、小鷹が凶悪な笑みを浮かべて何かを言うと、
男達は怯えて戦意を失い、逃げ出した。
P.235 この正宗像は姫子が大学時代、街で眼帯を付けた金髪碧眼の
凄い美少女を見かけたのをきっかけに思いついたもので、何年もの間
ずっと暖め続けてきたものを、このたび満を持して登場させた。
タイトル横の説明は著者によるもの.
【動き出した時間】動くまで時間がかかり動き出してもすぐ止まる系女子、三日月夜空。
夜空視点
【なぞなぞ】息抜き的な話1。
夜空視点
【はじまりの翼】正直、天馬がここまでの重要人物だったとは実は作者も思って
いませんでした。アイリも初登場。この両親にして小鷹&小鳩の
兄妹というわけです。ちなみに今回の表紙イラストは女子高生
時代のアイリと、ケツで割り箸を割ることに夢中だった時代の
小鳩という実際にはありえない組み合わせで、とても切ないです。
天馬視点
【星二つ】息抜き的な話2。はがない4の104ページあたりの裏側です。珍しい
組み合わせをお楽しみください。ちなみに幸村はモバイルゲーム嫌い。
既刊にて小鷹も言ってますが、意外と好き嫌いは明確にある娘です。
星奈視点
【スーパーノヴァ】当初はもっと昼ドラ的なドロドロした内容になると思っていましたが、
幸い父がいなくても幸せな幼年期を送れたのでステラの内面が
あまり黒くなりませんでした。4の118ページの行動の理由は、
避妊は大切だという姉心。
ステラ視点
【カムパネルラ】日本よ、これがリア充だ。……天馬による学校改革の影響は
良くも悪くもちゃんと出ているという話でもあります。方言は
舞台のモデルになった作者の地元のもので、関西系の印象を
受けるかもしれませんがアクセントは関東寄りと、文章だけでは
わかりにくいです。語り手の小鷹が同級生と喋る機会が少ないのと、
高校生にもなると方言を使いたがらなくなるので、これまでは
マリアがたまに使うくらいであまり前面には出ませんでした。
タイトルは『銀河鉄道の夜』からですが、作中の何のメタファー
かというと、色々です。なにげに小鷹と小鳩のキレるポイントが
一緒なのも注目。
若木光太視点
【プレス】姉バカ日誌。タイトルは breath と bless の両方です。
ケイト視点
【クオリア/もう一つの動き出した時間】
序盤の最重要シーン、小鷹の根本にあるものが一瞬浮き彫りになる
2の63ページあたりの補完を主な目的として書き始めた話ですが、
よりによって理科の一人称という形式を選んでしまったがために
大変なことに。苦労した分お気に入りです。
理科視点
【魔人が生まれた日】息抜き的話3。夜空と理科は割とウマが合います。
中性的な部分や中二病のケがあるところとか、
お互い通じるものがあるのでしょう。
理科視点
【スターゲイザー】姉バカ日誌2。あと、『星二つ』の「さすがの星奈も他人に
エロゲーやっているのをみられるのは恥ずかしい」というのを
思い出していただければ。
ステラ視点
【曇りなき心の月を先だてて】幸村の家庭の事情編。登場人物の驚きの片親率
……共通する環境だからこそ共通する点が生まれ
だからこそ出逢ったとかそんな感じでひとつ。幸村が
ゲームやケータイを難なく使いこなしていた伏線を
やっと回収できました。
楠姫子(幸村の母親)視点
【手を取れるように】もはや主人公の風格。タイトルの由来は『NEXT』の主題歌の
フレーズから。
理科視点
【コネクト/プロローグが終わり、羽瀬川小鷹が主人公になったとき】
8のラストから直接続いているエピソードです。8の最後に
描くべきか迷ったのですが、ここはさすがに綺麗に終わるべき
だろうということで今巻に入りました。
夜空視点
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