荻原規子『RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと』カドカワ銀のさじシリーズ
とても美味しかった.なんと,みっちり詰まった物語だろう.
泉水子の居場所づくりとして,とても素敵な展開があり
以前に嫌だったものが,そうでないものに昇華するという
ただの事件解決ではない,心に残るものがあった.
ただ,1~3巻あたりのペースなら,軽く2巻分はある気が.
展開が速くて?うっかりすると読みこぼししそうになるほど.
5巻の舞いの辺りも,もっと詳しく描いてほしかったけれど
この巻は更に,何か事情があったのかな?と思うくらい.
もう少し,ゆったりと描写してくれたら,もっと楽しめた気が.
一級アマチュア無線技士というリアル電波系だからか
『周波』で描いてある辺りパナウェーブ級電波女と感じられて
そこだけは残念だった.
◇メモ
P.52 「人物を見極める人。この学園に集まった生徒の中で、だれが
一番の異能者かを選ぶ人。さまざまな個性の生徒がいても、本当に
傑出した人物であれば、この学園で頭角をあらわすものだからです。
鳳城学園は、そのための機能を第一としているの。そのために
つくられた場所だと言ってもいいほどに」
P.71 大成の場合はくつろいだときも必ず和服だった。藍染の甚平のようだ。
…甚平って,和服なの,かな?
P.72 「これで立証できそうだよ。泉水子がもっている未知の力は、神霊に
働きかけるプロセスのどこかで電磁波に干渉するんだ。電子機器が
壊れてしまうのはそのせいだよ。そうした影響力に、コントロールが
見つからない場合でも、そこで万策尽きるわけじゃない。泉水子の
無意識に働きかける手段さえあれば」
泉水子が口をはさむ前に、大成は勢いよく続けた。
「そのパソコンは、大胆な発想の転換で、まったく斬新な試みだったんだよ。
泉水子はインターネットをずいぶん苦にしていたけど、本当の理由は逆なんだ。
コンピュータ・ネットワークにもともと親和しやすいせいで、その周波領域で
変成が起きるんだよ。体質的になじみがいいのは、ぼくの遺伝かなあ。
一般常識で言えば、そのパソコンでインターネットの接続は不可能だ。
泉水子は、自分で勝手に周波をつくってウェブに入り込んでいるんだよ」
P.98 ずっと黙っている泉水子と目を合わせた仄香は、語りかけるように言った。
「鈴原さん、あなたの神楽舞、私もこの目で見せてもらったよ。見事に私の
踊りとはちがうものだった。舞踏のもっている意味が根本的にちがっていた。
今では、私たちに見せようとしなかったあなたの気持ちがわかるようなの。
あなたが、舞踏の身ぶりでつながりたかった相手は人ではなかったんだね」
P.113 「わたし、選ばれたいと思っているわけじゃありません。村上先輩が決定を
取り消してくれるなら、そのほうがありがたいんです」
P.114 「つまり、それがきみの願いというわけだね。あばかれることを望んでいない、
無理に隠されているわけではなく、本人の意思で隠れていたいのだという」
P.114 「それなら、きみはその意志にもとづいて、この学園を支配しなければ
ならないよ。この学園をつくり変えなければならないと言ってもいい。
その勇気も決意もないなら、きみのような子は、高柳くんの言うとおり、
だれかに従属するものに収まってしまうよ」
P.116 「鈴原さん、きみにも欲しいものがあるなら、対決をすべて避けて
通るわけにはいかないんだよ。もう一度、自分は何がしたいか
考えてごらん。きみが今日まで受け身の立場になりすぎたことが、
ここで不利に出て終わるというなら、すべてはそこまでのことに
なるんだよ」
P.146 泉水子が戸口を出ようとしたとき、穂高は、
なにげなくといった調子で声をかけた。
「鈴原さん、きみの舞は、人以外に働きかけるものであって観客を
必要としていなかったね。だけど、この世を取り巻くものの根っこは一つで、
人間もその一部ではあるんだよ。馬も人間も、人間の手がつくりあげるものも、
大きな自然界の一部ではあるんだ。人間をはずして考えるのはまちがいだよ」
P.155 「きみは、和宮さとるの前で舞を舞おうと決意したとき、いっしょに相楽深行に
舞を見せたじゃないか。あのとき、すでに、ものごとは決まっていたんだよ。
ぼくは、鈴原さんの最初で一番純粋な力から生まれたものだ。きみはそれを
真っ先に、架け橋として使うことを望んだんだ」
P.155 「他の人間との架け橋ってことだね。七夕の夜、天の川に架かる橋は、
カササギでできてるって話じゃないか。カササギはカラスの仲間だから、
ぼくはそれなりにふさわしいよね」
P.158 思いをキャンパス全体に広げることは、高柳をはじめとする異分子を
その内側に包み込むことでもあったが、泉水子は気にしないことにした。
十分に広げてから、深行に教わった護身法を行った。縦横に切る
早九字だけでなく、一つ一つ両手で印を結んでいくことからはじめた。
「臨」「兵」「闘」「者」「皆」「陣」「列」「在」「前」
P.161 「鈴原サン、ワタシも、あなたが何をしたのか本当のところはわからない。
だけど、あなたひとりで高柳の術を超えてしまったのはわかるよ。
あなたは、術よりもっと自然のままに、大地を味方につける人。
ワタシが保護したいと思う人間は、あなたのような人よ」
泉水子は、決意して顔を上げてアンジェリカを見つめた。
「わたしも、今は、アンジェリカはわかってくれる人だと思う。友達に
なれると思う。だから、あなたがわたしの友達なら、わたしのことを
報告しないで。世界遺産候補は、高柳くんだと言って」
めんくらったアンジェリカが、濃いまつげをまばたかせているうちに、
泉水子は穂高のほうへ顔を向け、続けて言った。
「村上先輩も同じです。理事長にこの話をするなら、高柳くんがその候補だと
伝えてください。学園トップには高柳くんを選んでください」
P.161 「村上先輩は、わたしにどうしたいのかと聞きましたよね。これが、
わたしのしたいことです。みんなには、わたしの勝ちを認めてもらいました。
その上で、代表者には高柳くんになってほしいんです」
P.164 「ぼくにトップの座をゆずって、鈴原さんは従うふりをして……実際に
操るのはきみのほうだと。そういうことを言ってるのか?」
P.164 「ああ、よくわかったよ。それが鈴原さんの学園支配のやり方だということだ。
うれしくなってしまうほど、ぼくとよく似た流儀だったね。このままでいくと、
ぼくの後に影の生徒会長になる人物は、鈴原さんってことになりそうだな」
P.179 「雪政があれだぞ、おれに語学力がなくていいと思うか?慧文学園に
いるころは英検づけだった」
P.199 「鈴原さん、もしかして自分のこと……早死にするって考えてる?」
「うん、事実だよ。わたしの力はたぶん、そのせいだから」
P.206 「わたしの結界……って、あったの?」
P.221 「おれには、今、遠くの母親より、自分のまわりにいる人間のほうが大事だ。
このついでに、九字の護身を解除する真言を教えてやるよ。高柳に結界を
解けと言われてただろう。鈴原もこれを使えば、たぶん、解けるはずだ」
P.260 「鈴原さんの力は、陰陽師の術の対極にあるのかと思っていたら、
そうじゃなかった。すべての術の源泉だ。一つ上の次元だ」
P.281 (たった三年しかないのに、そんなに長くいなくなったらぜんぜん意味がないよ。
考えちゃだめ、わたしのそばにいてくれなくちゃだめだよ。深行くんが
特別何かにならなくても、今のままで、深行くんが支えの一番なのに……)
口に出して言おうとして、泉水子は寸前で気がついた。これを言ってしまったら、
深行が必要だと自分から言うのと同じだ。深行を縛りつけることになるから、
それだけはできないと思ったことをしてしまう。
P.283 今年は、最初で最後のクリスマス・プレゼントをあげることにするよ。
P.298 (……深行くんが海外に行ってしまうと気をもむくらいなら、
このわたしもいっしょに海外へ行けばよかったんだ。
なんだ、どうして思いつかなかったんだろう……)
P.315 「深行くんといっしょにいたいよ。その場所がどこになってもいい。
外国なら外国でもいい、深行くんといる」
P.318 「中山瑞穂の研究は、山伏組織の内部だけなら認められないものでも
なかった。彼女が紫子さんの友人で、紫子さんから依頼を受けたのも
事実だ。だが、この期に及んで誘惑に負け、海外との取引で泉水子を
つれ去ろうとした。鳳城学園での泉水子が、山伏以外の守りを
固めはじめたのを知って、手が届かなくなることを恐れたんだ。
姫神の占有は許されない行為だが、姫神をそばに見る人ほど、
手に入れたい誘惑にかられるのも常だ。身近なところから裏切りが
出ることも、ありえないとは言えない」
P.323 「姫神に関しては、わたしが死ぬまでわたしが憑坐であるはずだ。代々の
教えではそうなっている。だから、泉水子に憑依があったことには、
正直このわたしもずいぶん驚いた。本人に憑依するというのも、
矛盾したことに聞こえるからね……」
P.324 「後になって考えてみると、姫神は泉水子のもとへ、どうやら単に
遊びに出かけたようだ。たぶん、深行くんがどんな子か、
自分で見ておきたかったんだよ」
P.343 泉水子はその場にたたずみ、機影が空の点になるまで見送った。
そのときになって、ようやく、これが雪政の言うクリスマス・プレゼント
だったのだと思い当たった。
P.352 「でも、本当に留学をあきらめていいの?わたし、行くなとは言えないと
思っていたよ」
「おれが行くならいっしょに行くんだろ?そう言ったよな」
巻末記載
引用文献
「ヨハネ傳福音書」 『舊新約聖書』 日本聖書協会
『図説 日本呪術全書』 豊島泰国著 原書房
参考文献
『クリスマスの文化史』 若林ひとみ著 白水社
『熊野 神と仏』 植島啓司・九鬼家隆・田中利典著 原書房
とても美味しかった.なんと,みっちり詰まった物語だろう.
泉水子の居場所づくりとして,とても素敵な展開があり
以前に嫌だったものが,そうでないものに昇華するという
ただの事件解決ではない,心に残るものがあった.
ただ,1~3巻あたりのペースなら,軽く2巻分はある気が.
展開が速くて?うっかりすると読みこぼししそうになるほど.
5巻の舞いの辺りも,もっと詳しく描いてほしかったけれど
この巻は更に,何か事情があったのかな?と思うくらい.
もう少し,ゆったりと描写してくれたら,もっと楽しめた気が.
一級アマチュア無線技士というリアル電波系だからか
『周波』で描いてある辺りパナウェーブ級電波女と感じられて
そこだけは残念だった.
◇メモ
P.52 「人物を見極める人。この学園に集まった生徒の中で、だれが
一番の異能者かを選ぶ人。さまざまな個性の生徒がいても、本当に
傑出した人物であれば、この学園で頭角をあらわすものだからです。
鳳城学園は、そのための機能を第一としているの。そのために
つくられた場所だと言ってもいいほどに」
P.71 大成の場合はくつろいだときも必ず和服だった。藍染の甚平のようだ。
…甚平って,和服なの,かな?
P.72 「これで立証できそうだよ。泉水子がもっている未知の力は、神霊に
働きかけるプロセスのどこかで電磁波に干渉するんだ。電子機器が
壊れてしまうのはそのせいだよ。そうした影響力に、コントロールが
見つからない場合でも、そこで万策尽きるわけじゃない。泉水子の
無意識に働きかける手段さえあれば」
泉水子が口をはさむ前に、大成は勢いよく続けた。
「そのパソコンは、大胆な発想の転換で、まったく斬新な試みだったんだよ。
泉水子はインターネットをずいぶん苦にしていたけど、本当の理由は逆なんだ。
コンピュータ・ネットワークにもともと親和しやすいせいで、その周波領域で
変成が起きるんだよ。体質的になじみがいいのは、ぼくの遺伝かなあ。
一般常識で言えば、そのパソコンでインターネットの接続は不可能だ。
泉水子は、自分で勝手に周波をつくってウェブに入り込んでいるんだよ」
P.98 ずっと黙っている泉水子と目を合わせた仄香は、語りかけるように言った。
「鈴原さん、あなたの神楽舞、私もこの目で見せてもらったよ。見事に私の
踊りとはちがうものだった。舞踏のもっている意味が根本的にちがっていた。
今では、私たちに見せようとしなかったあなたの気持ちがわかるようなの。
あなたが、舞踏の身ぶりでつながりたかった相手は人ではなかったんだね」
P.113 「わたし、選ばれたいと思っているわけじゃありません。村上先輩が決定を
取り消してくれるなら、そのほうがありがたいんです」
P.114 「つまり、それがきみの願いというわけだね。あばかれることを望んでいない、
無理に隠されているわけではなく、本人の意思で隠れていたいのだという」
P.114 「それなら、きみはその意志にもとづいて、この学園を支配しなければ
ならないよ。この学園をつくり変えなければならないと言ってもいい。
その勇気も決意もないなら、きみのような子は、高柳くんの言うとおり、
だれかに従属するものに収まってしまうよ」
P.116 「鈴原さん、きみにも欲しいものがあるなら、対決をすべて避けて
通るわけにはいかないんだよ。もう一度、自分は何がしたいか
考えてごらん。きみが今日まで受け身の立場になりすぎたことが、
ここで不利に出て終わるというなら、すべてはそこまでのことに
なるんだよ」
P.146 泉水子が戸口を出ようとしたとき、穂高は、
なにげなくといった調子で声をかけた。
「鈴原さん、きみの舞は、人以外に働きかけるものであって観客を
必要としていなかったね。だけど、この世を取り巻くものの根っこは一つで、
人間もその一部ではあるんだよ。馬も人間も、人間の手がつくりあげるものも、
大きな自然界の一部ではあるんだ。人間をはずして考えるのはまちがいだよ」
P.155 「きみは、和宮さとるの前で舞を舞おうと決意したとき、いっしょに相楽深行に
舞を見せたじゃないか。あのとき、すでに、ものごとは決まっていたんだよ。
ぼくは、鈴原さんの最初で一番純粋な力から生まれたものだ。きみはそれを
真っ先に、架け橋として使うことを望んだんだ」
P.155 「他の人間との架け橋ってことだね。七夕の夜、天の川に架かる橋は、
カササギでできてるって話じゃないか。カササギはカラスの仲間だから、
ぼくはそれなりにふさわしいよね」
P.158 思いをキャンパス全体に広げることは、高柳をはじめとする異分子を
その内側に包み込むことでもあったが、泉水子は気にしないことにした。
十分に広げてから、深行に教わった護身法を行った。縦横に切る
早九字だけでなく、一つ一つ両手で印を結んでいくことからはじめた。
「臨」「兵」「闘」「者」「皆」「陣」「列」「在」「前」
P.161 「鈴原サン、ワタシも、あなたが何をしたのか本当のところはわからない。
だけど、あなたひとりで高柳の術を超えてしまったのはわかるよ。
あなたは、術よりもっと自然のままに、大地を味方につける人。
ワタシが保護したいと思う人間は、あなたのような人よ」
泉水子は、決意して顔を上げてアンジェリカを見つめた。
「わたしも、今は、アンジェリカはわかってくれる人だと思う。友達に
なれると思う。だから、あなたがわたしの友達なら、わたしのことを
報告しないで。世界遺産候補は、高柳くんだと言って」
めんくらったアンジェリカが、濃いまつげをまばたかせているうちに、
泉水子は穂高のほうへ顔を向け、続けて言った。
「村上先輩も同じです。理事長にこの話をするなら、高柳くんがその候補だと
伝えてください。学園トップには高柳くんを選んでください」
P.161 「村上先輩は、わたしにどうしたいのかと聞きましたよね。これが、
わたしのしたいことです。みんなには、わたしの勝ちを認めてもらいました。
その上で、代表者には高柳くんになってほしいんです」
P.164 「ぼくにトップの座をゆずって、鈴原さんは従うふりをして……実際に
操るのはきみのほうだと。そういうことを言ってるのか?」
P.164 「ああ、よくわかったよ。それが鈴原さんの学園支配のやり方だということだ。
うれしくなってしまうほど、ぼくとよく似た流儀だったね。このままでいくと、
ぼくの後に影の生徒会長になる人物は、鈴原さんってことになりそうだな」
P.179 「雪政があれだぞ、おれに語学力がなくていいと思うか?慧文学園に
いるころは英検づけだった」
P.199 「鈴原さん、もしかして自分のこと……早死にするって考えてる?」
「うん、事実だよ。わたしの力はたぶん、そのせいだから」
P.206 「わたしの結界……って、あったの?」
P.221 「おれには、今、遠くの母親より、自分のまわりにいる人間のほうが大事だ。
このついでに、九字の護身を解除する真言を教えてやるよ。高柳に結界を
解けと言われてただろう。鈴原もこれを使えば、たぶん、解けるはずだ」
P.260 「鈴原さんの力は、陰陽師の術の対極にあるのかと思っていたら、
そうじゃなかった。すべての術の源泉だ。一つ上の次元だ」
P.281 (たった三年しかないのに、そんなに長くいなくなったらぜんぜん意味がないよ。
考えちゃだめ、わたしのそばにいてくれなくちゃだめだよ。深行くんが
特別何かにならなくても、今のままで、深行くんが支えの一番なのに……)
口に出して言おうとして、泉水子は寸前で気がついた。これを言ってしまったら、
深行が必要だと自分から言うのと同じだ。深行を縛りつけることになるから、
それだけはできないと思ったことをしてしまう。
P.283 今年は、最初で最後のクリスマス・プレゼントをあげることにするよ。
P.298 (……深行くんが海外に行ってしまうと気をもむくらいなら、
このわたしもいっしょに海外へ行けばよかったんだ。
なんだ、どうして思いつかなかったんだろう……)
P.315 「深行くんといっしょにいたいよ。その場所がどこになってもいい。
外国なら外国でもいい、深行くんといる」
P.318 「中山瑞穂の研究は、山伏組織の内部だけなら認められないものでも
なかった。彼女が紫子さんの友人で、紫子さんから依頼を受けたのも
事実だ。だが、この期に及んで誘惑に負け、海外との取引で泉水子を
つれ去ろうとした。鳳城学園での泉水子が、山伏以外の守りを
固めはじめたのを知って、手が届かなくなることを恐れたんだ。
姫神の占有は許されない行為だが、姫神をそばに見る人ほど、
手に入れたい誘惑にかられるのも常だ。身近なところから裏切りが
出ることも、ありえないとは言えない」
P.323 「姫神に関しては、わたしが死ぬまでわたしが憑坐であるはずだ。代々の
教えではそうなっている。だから、泉水子に憑依があったことには、
正直このわたしもずいぶん驚いた。本人に憑依するというのも、
矛盾したことに聞こえるからね……」
P.324 「後になって考えてみると、姫神は泉水子のもとへ、どうやら単に
遊びに出かけたようだ。たぶん、深行くんがどんな子か、
自分で見ておきたかったんだよ」
P.343 泉水子はその場にたたずみ、機影が空の点になるまで見送った。
そのときになって、ようやく、これが雪政の言うクリスマス・プレゼント
だったのだと思い当たった。
P.352 「でも、本当に留学をあきらめていいの?わたし、行くなとは言えないと
思っていたよ」
「おれが行くならいっしょに行くんだろ?そう言ったよな」
巻末記載
引用文献
「ヨハネ傳福音書」 『舊新約聖書』 日本聖書協会
『図説 日本呪術全書』 豊島泰国著 原書房
参考文献
『クリスマスの文化史』 若林ひとみ著 白水社
『熊野 神と仏』 植島啓司・九鬼家隆・田中利典著 原書房
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