橘公司『デート・ア・ライブ7 美九トゥルース』富士見ファンタジア文庫
士織の正体がバレてどうするんだろうと思ってたけど
士道がデレさせた精霊たちに助けられつつ健気に
頑張りましたの巻.なんか気持ちよく読めた,というか
このシリーズにしては気に入る台詞が多かったような.
インカムでの遠隔操作成分が少なかったからかな.
◇メモ
P.42 CDのパッケージと思しきプラスチックケースが数枚入っていたのである。
それらすべてに美九の姿が印刷されていた。
P.43 曲名の下に記されている名前が、美九のものではなかったのである。
「『宵待月乃』? なんだこの名前」
P.91 「はっ、じゃあ何ですか? あなた、自分の命よりその十香さんって子が
大切だなんて言うんですかぁ?」
「当たり前だ」
そんなこと、考えるまでもなかった。一瞬の逡巡もなく、返す。
「……………」
P.118 「大切ぅ……?大切って何ですか。バッカじゃないですかぁ……そんなの
自分の感情に酔ってるだけですしー。ああもう、思い出しただけでも
ムカムカしますぅぅぅッ!人間が……特に男なんて劣等生物が、
自分の命より何かを大切に思えるなんてことあるはずないですし!
あっちゃいけないんですし……!」
P.119 「正直に答えて欲しいんですけど……あの士道って人は十香さんの
何なんですかぁ?十香さんを大切に思ってるって、本当だと思いますかぁ?」
「…………」
美九の問いに、居並んだ少女たちは数瞬考え込むように顔を見合わせた。
そして、何やら小さくうなずきあってから、美九の方に目を戻してくる。
「いやー、あれは軽薄な男ですよー。好きだとか大切だとか、
息を吐くように言いますからね。私らにも常に腰振ってますし」
「そうそう。下半身と脳が直結してるっていうか、むしろ下半身に
脳があるんじゃないかって思っちゃうくらい」
「反して根性はないですねー。十香ちゃんの件も口だけですよきっと。
お姉様が気になさるようなことはありませんってば」
「……………」
あからさまに目を泳がせながら亜衣、麻衣、美衣が言うのを聞いて、
美九は息を吐きながら表情を歪めた。
「……私は正直に答えて欲しいって言ったはずですよぉ?私のことを
慮ってくれるのは嬉しいですけど、嘘を吐く子は嫌いですぅ」
美九が髪をかき上げながら言うと、亜衣麻衣美衣はわかりやすく
ビクッと肩を揺らした。
それから、諦めたように細く息を吐いてくる。
「五河くんと十香ちゃんの関係……ですよね。ううん、正直、よく
わからないんですよね。恋人ってわけじゃないみたいなんですけど、
ただの友達って感じでもないですし……」
「そうそう。あ、でも常に一緒にいるのは本当です。十香ちゃんは五河くんと
いるとホント心底幸せそうで、なんか微笑ましくなっちゃうんですよねー」
「うんうん。五河くんは五河くんで、十香ちゃんのこと大好きよねー。
何をするにも気にかけてるし、めちゃくちゃ仲いいわよね」
「ふぅん……そうですか」
半眼を作りながら、精霊たちの方に目を向ける。
「じゃあ、もし十香さんを助けるために自分の命を懸けなきゃならない
事態に陥ったとしたなら……士道さんはどうすると思いますぅ?」
問うと、四糸乃が言いづらそうに口をモゴモゴさせた。
「あ、あの……お姉様、正直に……でいいんですよね」
「はいー。あなたが知ってる士道さんのことを教えてくれれば
それでいいですよ!」
「なら……はい。士道さんなら、そうする思います。
……一瞬の躊躇いもなく、十香さんを助けると思います。
たとえ……それで、自分が……死んでしまうとしても」
「…………」
四糸乃の答えに、美九は小さく唇を噛んだ。それにきづいたのか、
四糸乃が「ひっ」と小さい悲鳴を漏らす。
「……あなたたちも同意見です?」
言いながら、八舞姉妹の方に視線を送る。すると二人は、考えを
巡らすようにあごに手を当ててから返してきた。
「かか、まあ、士道であればそうするであろうな。賭けてもよいぞ。
あの馬鹿は、己が身を顧みずに死地に足を踏み入れる。
それは我や夕弦のためであってもだ」
「肯定。悪い言い方をすれば、彼はどうかしています。きっと十香さんの
ためとあらば何を捨ててもそれを成そうとするでしょう」
「…………」
美九は渋面をさらに歪めた。
(――当たり前だ)
士道の言葉が、再び頭の中に反響する。
(――それくらい、十香が大切だからだ)
「く……」
P.140 真那は狂三のことなど微塵も気にかけていないといった様子で、
士道の顔をジッと見つめたのち、その胸元を荒々しく撫でてきた。
それから、安堵したように息を吐く。
「ちょっ!な、なんだってんだよ一体!」
たまらず叫ぶと、真那はううむと難しげにうなってみせた。
「いえ、<フラクナシス>から兄様の映像を見た際に、妙に可愛らしい
格好をしていやがられたので、もしかしたらしばらく見ないうちに
そういう趣味に目覚めてしまったのかと」
「違うわっ!」
「ええ、安心しました。どうやら工事まではしてねーようですね。
……下はどうです?まさか取っちゃってねーですよね?」
「当然だろうが……おまえ、俺を何だと思ってんだよ」
「ならばまあ、いいとしましょう。真那は寛容です。女装くらいなら
変わった趣味として認める度量を持っています。今度一緒に
ショッピングにでも行きましょう」
「だから……!」
P.165 ――剣。金色に輝く、一振りの、巨大な剣である。
「な……これ、は――<鏖殺公>……?」
そう。十香の天使。絶大なる威力を誇る剣<鏖殺公>。
それが今、士道の目の前に浮遊していたのである。
P.196 「……ふざけるな! 十香に、代わりなんていない!」
P.197 「なんで――なんでおまえはそんなに男を嫌うんだ! なんで女の子を
物のように扱うんだ! なんで人間を、そんな風に見てしまうんだ……!」
「はッ、そんなの決まっているでしょう? 人間なんてその程度の――」
「――おまえも、人間なのに……ッ!」
美九の声を遮るように言い放つ。
美九が、言葉を切って息を詰まらせた。
「――ッ!?」
美九が驚愕に見開いた目を士道に向けてくる。士道はその目を
見据えながら続けた。
「もともと人間だったおまえに、<ファントム>ノイズのような姿をした
『何か』が、精霊の力を与えた。……違うか!?」
P.212 「そんなの関係あるか! 何度でもいってやるよ! おまえはずっと、
おまえを肯定しかしない人間に囲まれていたから、生の人間と
会話するのが怖いんだ! でも――それだけ人間を拒絶しなが、
心のどこかでは、ちゃんと話をしたいって思っていたはずだ!」
P.212 「わかるさ! だって、だからこそおまえは、自分の『声』で操れない人間
――『五河士織』を欲しがったんじゃないのか!?」
P.214 「聴いたさ! 一曲だけだがな! ひたむきで、一所懸命で、格好良かった!
今の歌よりもよっぽど好きだね! 誰も歌を聴いてくれない……?
はッ、馬鹿言うな。――少なくとも、何があっても離れないファンが一人!
ここに、いるッ!」
P.215 「都合のいいことを……! じゃあなんですか、私がもし十香さんと同じように
ピンチになったら、あなた、命を懸けて助けてくれるとでもいうんですかぁ!?」
P.216 「当然だろうが!」
P.280 「あなた、言いましたよねー? 命を懸けてでも十香さんを助けるって。
なら、最後まで責任持ってください。私を……失望させないでください。
私は……それを見るためにここまで来たんですから」
P.296 「ぁにを、やっぇ――」
未だ上手く発せない声で言う。すると、<暴虐公>の一撃を凌ぎきった
士道は、冷気の壁を霧散させながら口を開いた。
「約束――したからな」
P.325 「うふふ、冗談ですよぉ。――四糸乃ちゃんたちに聞いて、
全部、知ってましたからー」
P.326 「はいー……、もし私が今の『声』をなくして、他のみんなにそっぽを
向かれても、士道さんだけはファンでいてくれるって。
あれは――本当ですよね?」
士織の正体がバレてどうするんだろうと思ってたけど
士道がデレさせた精霊たちに助けられつつ健気に
頑張りましたの巻.なんか気持ちよく読めた,というか
このシリーズにしては気に入る台詞が多かったような.
インカムでの遠隔操作成分が少なかったからかな.
◇メモ
P.42 CDのパッケージと思しきプラスチックケースが数枚入っていたのである。
それらすべてに美九の姿が印刷されていた。
P.43 曲名の下に記されている名前が、美九のものではなかったのである。
「『宵待月乃』? なんだこの名前」
P.91 「はっ、じゃあ何ですか? あなた、自分の命よりその十香さんって子が
大切だなんて言うんですかぁ?」
「当たり前だ」
そんなこと、考えるまでもなかった。一瞬の逡巡もなく、返す。
「……………」
P.118 「大切ぅ……?大切って何ですか。バッカじゃないですかぁ……そんなの
自分の感情に酔ってるだけですしー。ああもう、思い出しただけでも
ムカムカしますぅぅぅッ!人間が……特に男なんて劣等生物が、
自分の命より何かを大切に思えるなんてことあるはずないですし!
あっちゃいけないんですし……!」
P.119 「正直に答えて欲しいんですけど……あの士道って人は十香さんの
何なんですかぁ?十香さんを大切に思ってるって、本当だと思いますかぁ?」
「…………」
美九の問いに、居並んだ少女たちは数瞬考え込むように顔を見合わせた。
そして、何やら小さくうなずきあってから、美九の方に目を戻してくる。
「いやー、あれは軽薄な男ですよー。好きだとか大切だとか、
息を吐くように言いますからね。私らにも常に腰振ってますし」
「そうそう。下半身と脳が直結してるっていうか、むしろ下半身に
脳があるんじゃないかって思っちゃうくらい」
「反して根性はないですねー。十香ちゃんの件も口だけですよきっと。
お姉様が気になさるようなことはありませんってば」
「……………」
あからさまに目を泳がせながら亜衣、麻衣、美衣が言うのを聞いて、
美九は息を吐きながら表情を歪めた。
「……私は正直に答えて欲しいって言ったはずですよぉ?私のことを
慮ってくれるのは嬉しいですけど、嘘を吐く子は嫌いですぅ」
美九が髪をかき上げながら言うと、亜衣麻衣美衣はわかりやすく
ビクッと肩を揺らした。
それから、諦めたように細く息を吐いてくる。
「五河くんと十香ちゃんの関係……ですよね。ううん、正直、よく
わからないんですよね。恋人ってわけじゃないみたいなんですけど、
ただの友達って感じでもないですし……」
「そうそう。あ、でも常に一緒にいるのは本当です。十香ちゃんは五河くんと
いるとホント心底幸せそうで、なんか微笑ましくなっちゃうんですよねー」
「うんうん。五河くんは五河くんで、十香ちゃんのこと大好きよねー。
何をするにも気にかけてるし、めちゃくちゃ仲いいわよね」
「ふぅん……そうですか」
半眼を作りながら、精霊たちの方に目を向ける。
「じゃあ、もし十香さんを助けるために自分の命を懸けなきゃならない
事態に陥ったとしたなら……士道さんはどうすると思いますぅ?」
問うと、四糸乃が言いづらそうに口をモゴモゴさせた。
「あ、あの……お姉様、正直に……でいいんですよね」
「はいー。あなたが知ってる士道さんのことを教えてくれれば
それでいいですよ!」
「なら……はい。士道さんなら、そうする思います。
……一瞬の躊躇いもなく、十香さんを助けると思います。
たとえ……それで、自分が……死んでしまうとしても」
「…………」
四糸乃の答えに、美九は小さく唇を噛んだ。それにきづいたのか、
四糸乃が「ひっ」と小さい悲鳴を漏らす。
「……あなたたちも同意見です?」
言いながら、八舞姉妹の方に視線を送る。すると二人は、考えを
巡らすようにあごに手を当ててから返してきた。
「かか、まあ、士道であればそうするであろうな。賭けてもよいぞ。
あの馬鹿は、己が身を顧みずに死地に足を踏み入れる。
それは我や夕弦のためであってもだ」
「肯定。悪い言い方をすれば、彼はどうかしています。きっと十香さんの
ためとあらば何を捨ててもそれを成そうとするでしょう」
「…………」
美九は渋面をさらに歪めた。
(――当たり前だ)
士道の言葉が、再び頭の中に反響する。
(――それくらい、十香が大切だからだ)
「く……」
P.140 真那は狂三のことなど微塵も気にかけていないといった様子で、
士道の顔をジッと見つめたのち、その胸元を荒々しく撫でてきた。
それから、安堵したように息を吐く。
「ちょっ!な、なんだってんだよ一体!」
たまらず叫ぶと、真那はううむと難しげにうなってみせた。
「いえ、<フラクナシス>から兄様の映像を見た際に、妙に可愛らしい
格好をしていやがられたので、もしかしたらしばらく見ないうちに
そういう趣味に目覚めてしまったのかと」
「違うわっ!」
「ええ、安心しました。どうやら工事まではしてねーようですね。
……下はどうです?まさか取っちゃってねーですよね?」
「当然だろうが……おまえ、俺を何だと思ってんだよ」
「ならばまあ、いいとしましょう。真那は寛容です。女装くらいなら
変わった趣味として認める度量を持っています。今度一緒に
ショッピングにでも行きましょう」
「だから……!」
P.165 ――剣。金色に輝く、一振りの、巨大な剣である。
「な……これ、は――<鏖殺公>……?」
そう。十香の天使。絶大なる威力を誇る剣<鏖殺公>。
それが今、士道の目の前に浮遊していたのである。
P.196 「……ふざけるな! 十香に、代わりなんていない!」
P.197 「なんで――なんでおまえはそんなに男を嫌うんだ! なんで女の子を
物のように扱うんだ! なんで人間を、そんな風に見てしまうんだ……!」
「はッ、そんなの決まっているでしょう? 人間なんてその程度の――」
「――おまえも、人間なのに……ッ!」
美九の声を遮るように言い放つ。
美九が、言葉を切って息を詰まらせた。
「――ッ!?」
美九が驚愕に見開いた目を士道に向けてくる。士道はその目を
見据えながら続けた。
「もともと人間だったおまえに、<ファントム>ノイズのような姿をした
『何か』が、精霊の力を与えた。……違うか!?」
P.212 「そんなの関係あるか! 何度でもいってやるよ! おまえはずっと、
おまえを肯定しかしない人間に囲まれていたから、生の人間と
会話するのが怖いんだ! でも――それだけ人間を拒絶しなが、
心のどこかでは、ちゃんと話をしたいって思っていたはずだ!」
P.212 「わかるさ! だって、だからこそおまえは、自分の『声』で操れない人間
――『五河士織』を欲しがったんじゃないのか!?」
P.214 「聴いたさ! 一曲だけだがな! ひたむきで、一所懸命で、格好良かった!
今の歌よりもよっぽど好きだね! 誰も歌を聴いてくれない……?
はッ、馬鹿言うな。――少なくとも、何があっても離れないファンが一人!
ここに、いるッ!」
P.215 「都合のいいことを……! じゃあなんですか、私がもし十香さんと同じように
ピンチになったら、あなた、命を懸けて助けてくれるとでもいうんですかぁ!?」
P.216 「当然だろうが!」
P.280 「あなた、言いましたよねー? 命を懸けてでも十香さんを助けるって。
なら、最後まで責任持ってください。私を……失望させないでください。
私は……それを見るためにここまで来たんですから」
P.296 「ぁにを、やっぇ――」
未だ上手く発せない声で言う。すると、<暴虐公>の一撃を凌ぎきった
士道は、冷気の壁を霧散させながら口を開いた。
「約束――したからな」
P.325 「うふふ、冗談ですよぉ。――四糸乃ちゃんたちに聞いて、
全部、知ってましたからー」
P.326 「はいー……、もし私が今の『声』をなくして、他のみんなにそっぽを
向かれても、士道さんだけはファンでいてくれるって。
あれは――本当ですよね?」
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